先生の先生の先生

今年も新入社員向けの講師育成が始まった。

昨年は、講師候補の方に対して私が直接担当させていただいたのだが、今年はまた違うパターンで、講師を教える講師の方に、教え方を教える、という複雑なことになっている。
言ってみれば、昨年は先生の先生で、今年は先生の先生の先生、といった感じだろうか。
直接担当させてもらったときには、30人を越える講師候補の方をほぼ1人対応していたので、一人一人に気を配りつつカリキュラムを考えて実施していくことは、とても気を使う業務であった。
また、カリキュラムについても、与えられた時間内で最大限の効果を得るために、ぎりぎりのタイミングを見計らいグループワークなどを設定し、モチベーションを引き出し学びの場の強化につながることは、すべて行うように努めていたことも、気を使うことにつながっていた。

ある意味、講師スキルをフルに発揮する必要のある、とてもやりがいのある研修であった。
今年は、直接私が研修をするのではなく、講師研修を行う講師を育てる、という間接的な関わりとなったことで、行うミッションは大きく変わった。
だが、していることは至極簡単である。
学んでもらわないとならないことを抽出、優先順位付けして整理し、それを学んでもらえる方法を考えてもらう、だけである。

学んでもらう方法はいろいろあるが、どのような方法を使えるかは、実際に現場に立つ講師の知識、経験、力量に大きく左右される。
残念ながら私が昨年使った方法を全て伝える時間はない。
なので、基本的には現在のスキルによって伝えてもらわなければならない。

ということで、講師育成の講師を育てるカリキュラムは以下の通りである。

1・伝えなければならないスキルを抽出する。
2・抽出したスキルの優先順位を決める。
3・どこまでが必須かを決める。
4・必須の項目について学んでもらう方法を、自分にできる範囲で考える。
5・スケジュール化する。

このように書くと、すべて「作業」に見えるかもしれないが、これこそが教えるための準備である。
このような「作業」を行わなければ何を伝えればよいのかさえ分からない状態になってしまうだろう。
たとえ自分のできることでも、きちんと言語化できるようにしておかなければ伝えることができないので、事前にきちんと「スキル」として認識し言語化できるようにしておくことは、伝えることの最初のステップである。

スキルの重要度を意識できれば、講師育成の現場で迷うことも、よけいなことを言うことも少なくなるだろう。

これらに加えて、できれば「質問のスキル」を身につけてもらいたいと考えている。

与えられた時間と環境の中でできることはこれぐらいであろう。

コメントスキルの訓練もしたいが、それを行う時間はなさそうである。

講師育成研修は難しい。

なぜなら育てなければならないスキルはさまざまなヒューマンスキルと実践的な技術スキルであり、教えた気になってすませることができないものだからだ。
育てるためには徹底した訓練が欠かせない。
さらに、ほとんどマイナスから始まるモチベーションをプラスにし、講師という仕事を「やりたい」と思ってもらわなければならない。

使える時間も十分ではない。

制約の中でできることを行い、可能な限りの成果を出したいと思っているが、今年の講師育成の枠組みの中ではできないことも出てくることだろう。

どこまでできるか。

今年もまた挑戦である。

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