課題発見、解決

課題の発見、解決、という研修を行うことがある。
そもそも「課題の発見、解決」そのものが目的であることもあるし、コーチング研修の中に含めることもある。
管理職研修の中にも含まれるし、新人研修においても求められることもある。

つまり、課題発見、またその解決は、全てにおいて大切なことであり、それができずに困っている人が多いということだ。
なぜ困るのか、といえば、簡単に言えば「すぐ目に見える問題だけを取り扱おうとするから」ではないかと考えている。

実際には「すぐ目に見える問題」というのは本当の原因ではなく、本当の原因からいろいろあって表面に表れてきた「現象」であることがほとんどなのだ。
例えば、クライアントから「ちゃんと思った通りに動かない」などといったクレームが来たとする。
クレームが来たから、製品の不具合かと思って調べても完全に動作する。
よくよく聞いたら、購入時の担当者が言った言葉が間違っていて、クライアントはその言葉通りの動作をしない、というクレームをあげていた、なんてことが普通にある。
この場合、本当の問題は、担当者が製品を正確に理解していなかったことにあり、解決策は担当者への正しい教育ということになる。

これなどはまだ簡単なほうである。

こんな例もある。

「最近入ってきた新人がなかなか成長しない」という問題を抱えているIT系の会社の上司がいた。
グループワークで意見交換をしながら、質問によりさまざまなことを考え、深めていくと次のような結論が出た。

「新人のレベルに対する、受け入れ側の思い込みが本当の問題である。」

その部署では数年にわたって、学生時代に専門教育を受けてきた、または趣味によりプログラムを書いてきたことにより、技術的には経験者といってもよいレベルの新人が配属されてきた。
そのようなことが続く中で、その部署では「新人」のレベル感が醸成されていった。
ある年に、新人研修で初めてプログラミングを学んだ新人が配属された。
すでに醸成されていたレベル感から比べると、当然ではあるがその新人のレベルは低いことになる。

このような経緯で、配属された新人がなかなか使えるようにならない、という問題意識になってしまったのだ。

実際に話を聞けば、配属された新人は、自ら努力をし、なんの問題もない新入社員である。
それどころか、自発的な動きもできる優秀な人材であった。

だが、思い込みによりそれが問題になってしまったのだ。
他にも「部下から報告がない」という問題を分析していったら、報告を受け取れていなかった自分が問題だった、というようなことは、もう当たり前と言えるほど普通にあることである。
問題分析の際に「自分に問題があるかも」と思うと、意識的、無意識的にそれらの問題から目を背けてしまうため、いつまでたっても真の問題にたどり着けない。
同じようなことはどこにでもある。
クレームをもらったら、思い込みや自己保身を排除した上で、何が原因なのか徹底的に考え分析をしなければ、本当の問題にはたどり着けない。
本当の問題にたどり着けないまま対処をしようとしたら、それは「臭いものには蓋」的な対処になってしまい、本当の問題をより見えにくくしてしまうだけである。

一度見えなくなってしまった問題はなくなることはなく、他の形で現象となって出てくる。
課題発見、解決といえばロジカルシンキングなどがあげられることが多いが、実際には、思い込みや自己保身の排除、問題を発見しようとする意識付けのほうが効果を上げられることが多いように感じている。
ロジカルシンキング分野の分析方法はそれらがなければ、ただの形にしかならない。
問題解決は問題が適切に見つかれば考えられる。

だから「課題発見」を以下に効果的に学んでもらえるかというのは、これからの私のテーマの1つである。

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