2016年度の新人研修を終えて

2016年度の新人研修の報告書を書き上げ、まだ若干の資料整理や提出物などが残ってはいるが、長かった新人研修が終了した。

今年も、講師育成から新人研修に携わることになり、1月中頃から6月初めまで、という長期戦であった。

講師育成では、講師を育てる講師の育成の役割を持つことになり、「先生の先生の先生」という自分で言っていてもこんがらがりそうな仕事をすることになった。

研修を実施中は受講者への影響を及ぼさないようにするため、ブログなどへの投稿は基本的に行っていないので、久しぶりの投稿になるが、今年の新人研修について振り返ってみたい。
●講師育成について。

講師育成というのは、私が行っている研修の中でももっとも難しいものの一つである。
対象が社会人経験を積んで自分の考えをしっかり持っている方であること、伝えるべき内容が複雑で多いこと、結果を出すまでの期間が限られていること、などが難しい理由であるが、これらを乗り越えるためには最新の注意と、錬ったカリキュラムが欠かせない。

昨年、一昨年と講師育成に取り組む中で、私のスキルを棚卸しし、人に伝えられる形に整理して、学べる形にしてきたことを、なんとか、直接講師育成に携わる方に伝えようとしたのだが、結果から言うと難しかった。

一部は講師の講師に伝えられたとは思うのだが、新人研修の講師になる講師候補の方に十分なことができたか、というとやはり足りなかったと言わざるを得ない。

理由はいくつかある。

一つは、圧倒的に時間が足りなかったことである。

先に「細心の注意」というように書いたのだが、その内容が実際にはそう簡単に伝えられるようなことではなかった。
観察のスキル、心理的な反応に対する知識と経験、メッセージを伝える方法など、それぞれがとても複雑なことだが、細心の注意、というのはそれらの複雑なものが絡み合っているものだからだ。

「細心の注意」を分解して1つ1つ訓練しながら学ぶには、やはり時間が圧倒的に足りなかった。

二つめは、私が昨年までに実施したカリキュラムの意図をきちんと伝えられなかったことだ。

「錬ったカリキュラム」についての話になるが、コメントの質やインストラクションの方法など、私が実施した内容をそのまま実施することは難しいことと、講師の講師の方がやりたいこと、やれること、などがあり、私が実施したカリキュラムの流れの実施ではなく、講師候補の方に本質的な部分を伝え切れていなかったように感じる。

3分間スピーチのような簡単なカリキュラムでさえ、テーマの設定の方法、コメントについて注意すべきことなどを整理して伝え、納得してもらうことはできなかった。
結論として、講師育成に関しては、私が直接担当させてもらうならば2ヶ月から2ヶ月半ほどあれば、最低限必要なことは伝えられるだろうと思う。
最低限の必要なこととは、テキストを読み解いて意図を考えカリキュラムを組み立てる力、講師として前に立って話す力、「受講者のために」という意識、などである。

だが、講師育成の講師を2週間で育てることは難しい。
必要な事を伝えるためのスキルを整理し、それを伝える手段を考えたときに、あまりにも短いのだ。

今年の講師育成では直前でそのような指示をもらったため、とりあえずはじめてはみたものの、やはり足りない時間には勝てなかった。
●新人研修

今年は複数社が混在する会場での実施であった。
これまで、新人研修では一社の新入社員だけが集まっている環境でしか研修を行っておらず、複数社混在の環境での研修は初めての経験であった。

会社毎に新入社員に傾向があり、これまでよりは幅広い対象だったこと、会社のイベントで一部の受講者が1日抜けることがあるなど、多少勝手が違った部分はあったが、結果的に昨年までの研修と同じような雰囲気になってくれた。
複数の会社であるという要素も、それなりにうまく盛り込めたと思う。

会社の壁がどれぐらいあるものか心配していたのだが、研修の最初から意識して壁をなくすように心がけた結果、それぞれの会社の個性がよい方向に生きたまま、会社の壁を越えた交流が生まれ、受講者が仲良くなってくれ、グループワークを通してよい学びの場となった。

一社ではないので、企業の担当者と頻繁に情報交換を行い方針を決める、ということはできなかったが、伝えたいことは受講者の方々に受け取ってもらえたようである。

全体としては、ほぼ想定していた負荷をかけながら伝えたい内容を盛り込むことができたのではないかと思う。

もちろん、課題もいくつかあり、振り返ると「もう少しこうしていたら」という反省がいくつか思い浮かぶ。
中には、私の判断ミスや、手が回らなかったことが理由であるものもあり、それらは素直に反省しなければならない。

特に、進み方の遅い人に対するアプローチの方法や、最初に乗り遅れた感じのある人へのアプローチには、反省点が多い。
進み方が遅いことには、いろんな理由があり、講師を含む周りへの質問ができるかどうか、するかどうかという個性も関係してくる。
原因や個性、考え方を見極めて適切な声をかけつつ、受講者自らの行動を妨げない、というのはなかなかむずかしい。

これらの対応の精度をあげることは、これからも課題になっていくだろう。

とはいえ、半年弱の新人研修関係のプロジェクトを終了し、とりあえずは一安心である。
少し休みを取りつつ、次の動きを考えていきたい。

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