質問という言葉も、傾聴という言葉も出てこないコーチング研修

コーチング研修では必ず出てくる要素に「傾聴」と「質問」がある。

他所でのコーチング研修のカリキュラムを見てみると、理論があり、理論の解説があり、傾聴の説明があり、質問があり、最後にロールプレイで傾聴と質問を体験する、というのが多いようである。
もちろん、全てのネット上のカリキュラムを調べたわけではないのだが、傾向として多いのは間違いないだろうと思う。

だが、私は、少なくとも最初のコーチング研修で必要なのは理論ではないと思っている。
そして、方法論でもない。

そこで、私は最初は「傾聴」も「質問」も言葉として使わずにコーチング研修をしている。

なぜか。

私が考えるもっとも大切なコーチングの要素は「相手のことを考える」ことだからである。

そこがきちんと納得できないと、どんなに理論を知って方法論を学んでも、意識は自分の中に残ってしまうことが多い。
だが、それでは「質問のための質問」になり、「他社の声を自分のフィルターを通して聴く」ことになってしまう。

だから、最初は、コーチングを受ける側の気持ちを理解する事を主眼にし、どうしてそういう気持ちになったのか、どうしたらそういう気持ちになるのか、を体験して納得するところから始めている。

そんな私の、ある1日コーチング研修での実施メニューである。

・メモの取り方についての注意。
・グルーピングわけ
・マーカー持ち回り連想ゲーム
・他己紹介
・「研修」に対する印象
・「なぜ楽しいのか?」
・良い研修とはどんなもの?
・良い研修を作る。
・「価値観の交流」
・「ここまでに気付いたこと」

1日の大半を使ってここまで来て、最後に以下である。

・「聴くスキル」
・「質問するスキル」
・「具体的なアクション」

最後の3つについては、本当に短い。
時間にして1時間程度である。

だが、この内容で高い評価をいただく事ができている。

この日の評価では、満足度が四択で全て「満足」(残りの項目は、やや満足、やや不満、不満)、役に立つかどうかでは92%が「とても役に立つ」8%が「役に立つ」(残りの項目はあまり役に立たない、全く役に立たない)、講師の評価では全て「とてもよかった」(残りは、よかった、あまり良くなかった、良くなかった)である。
感想として、これから自分の行動を変えていきたい、やることが明確になった、などの感想もいただいている。

この結果から見ても、受講生の方が求めているものに添うことができているのではないかと思う。
教える側の自己満足ではなくて、学ぶ側の欲しいものに添うことが、本当の学びにつながる。。

受講者の方からは、継続して学びたい、というご意見もいただいている。
そこでは「傾聴」「質問」を徹底的に体験しながら学んでもらうことになるだろう。
ここで初めて「方法論」を学ぶ準備ができるのだ。

「傾聴」と「質問」を説明しなくてもコーチングの本質を理解できる。

コーチングに限らないが、このような「本質を理解」できるような研修をこれからも続けていきたい。

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