1時間半でコーチングを伝える

「子どもクラブ育成会」という、いくつかの少年スポーツ団体が加盟している団体から1時間半の指導者講習の講師の依頼をいただいた。

テーマは「教えすぎずに子どもに気付かせることが大切!」だそうで、つまりは「教えないで教える」というテーマについての研修としてほしいとのことであった。

さらに「何か変化が生まれるようにしたい」という注文もついていた。
そして「内容はお任せします」。

1時間半というのは黙って話を聞いているだけなら、かなり長い時間で、眠らさないのは難しいだろうが、ワークショップなどを取り入れた研修の時間としては、かなり短い。
普段やっている丸一日の研修であっても「あっという間だった」という感想が上がってくるぐらいなので、1時間半で参加型で、と考えていくと、けっこう頭が痛いのだ。
1時間半といっても、講師紹介などを含めると、実質1時間15分ぐらいである。
さらに厳しい。

しかし、変化を生むには「参加型」でなければならない。
話を聞いただけでは人は変わっていかないことは、これまでたくさん経験をしている。
そもそも話だけでは「聞いてさえもらえない」ことも多い。

そうなると「何を伝えるか」というのをぎりぎりまで絞る必要がある。

絞って、それが「教えないで教える」「育む」ことにつながり、なおかつ1時間半で意識を変えるぐらいの体験をできる形にしなければならないことになる。

このような条件の下に考えて出した結論は「子どもを潰す言葉を使えなくしよう」であった。

言葉を使うときに、子どもの気持ちを考えることができるように。
言葉を使うときに、内的なモチベーションを高めることができるように。

この2つができれば、基本的なコーチングにつながるのではないかと考えたのだ。
そのためには、子どもの内的モチベーションを下げてしまう言葉を使いたくないようにしてしまえばいいはずである。

そんなことを考えながら研修を設計して実施した。

参加してくれたのは60名弱の主として子どものお母さん方であったが、終了後に書いていただいたアンケートに次のような言葉があった。

「指導者の方、全員に参加して欲しいと思いました。」

今だから言えるが、前の日は緊張してあまりよく眠れなかった。
時間ぎりぎりの中で伝えられるだろうか、というのは最後まで不安だった。

だが、この言葉で「伝わったんだな」というのを感じることができた。

1時間半の中に、グループワークを6回ほど入れた。
発表の時間を確保するのもままならない。
それでも、急いでは意味がない。
そんな中で、グループワークでの話し合いの流れができるだけ同じようになるように配慮して効率をあげたり、楽しみながらその流れに慣れるような工夫もしてみた。

効果はあったようである。

一生懸命やれば、きちんとフィードバックをもらえる、というのはこの仕事のいいところである。
また、新しいことに挑戦することで私の「引き出し」も少し増やすことができた。

このような私自身の成長の機会をいただけたことに、心から感謝したい。

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