グループワークによる研修の作り方

私の研修では、IT系の技術研修であってもグループワークを多用する。
なぜなら、その方が学習効率がはるかに高いからである。

私はグループワークにより研修を構成することに慣れてしまったので、もうそれほど難しいことだとは感じないのだが、はじめて取り組む人には難しいことだろうとは思う。

難しいと思う人に少しでも役に立てるように、今回はグループワークによって研修を考える際の考え方を簡単に記したい。

グループワークにて構成する研修では、次のような流れで考える。

1・学んでもらいたいことを分解、分析する。
2・学んでもらいやすい流れを考える。
3・気付いたり考えてもらえる課題を考える。
4・課題を実施した際の展開をシミュレーションする。
5・シミュレーションの結果から課題を修正する。
6・適切なインストラクションを考える。

そして実施する。

7・グループワーク中の様子を観察し、問題あれば修正する。
8・グループワークの結果から学んでもらいたいことを伝える。
9・結果を検証して記録に残す。

実施が終われば振り返りである。

10・発表、振り返り、強調など

1の「分析」がグループワークの成果を決める上で重要である。
例えば「話せるようになる」を研修の成果として考えた場合には、「話せない原因は何か?」「その原因は本当に唯一の原因なのか、他にはないのか?」「原因を克服、もしくは他の方法でカバーするにはどうするか?」など、必要な要素に分析し、対策を考える。
この時点で的を外してしまえば、グループワークの意味がなくなってしまう。
実際には、分析ができないようでは、教えること自体もままならないはずである。

3の「課題を考える」はアイデア勝負である。
瞬間でアイデアが浮かぶ場合もあるし、そうでない場合もある。
そうでない場合には、1日も2日も3日もかかることがあるが、ここで手を抜くと期待した成果が上がらない。
既存の課題をカスタマイズしたり組み合わせて使うこともある。
分析を元にした自由な発想がここでは重要である。
グループワークの実施には、実施に向けてのインストラクションが欠かせない。
6の「インストラクション」ではそれを検討する。

グループワークの種類や、参加者の人数や状態によっても導入インストラクションの方法は変わってくるが、だいたいの流れはある。

1・最初に質問をして興味を引き出し、質問を繰り返しつつ興味をより対象に向ける。
2・希望などとからめて目的を与えモチベートする。
3・グループワークの内容を正確に伝える。
必要ならば、何度か言葉を変えつつ繰り返す。
4・質問を受け付け、曖昧な点をなくす。
5・納得できる時間の設定を行う。
6・焦らすようにしつつ開始。

これは私が無意識に行っていたことを簡単に分析した結果である。なので他にもパターンはあるのだろうが、最もポピュラーで応用が利くように思える。
10の「発表、振り返り、強調」をきちんと行うことで、グループワークの成果を活かせる。
この「グループワークで出てきたもの」のハンドリングには分析の結果、また、分析に利用した知識などが必要になる。リアルタイムでの判断も必要になるので、神経を使うところである。
だが、ここがうまくできないとグループワークだけで研修を構成することは難しい。
他にも、1の前にどんな話しから入るのか、なども重要な要素である。
結局、精度の高い分析スキル、雰囲気を作れるスピーチスキル、場とのセッションを維持するスキル、グループワークの状態の観察スキルなどの各種スキルが必要になるのだが、これらをクリアしてぴったりはまったグループワークができると、驚くほどの成果が上がる。

その成果を見てしまうと、もっと広く、もっと深く、を目指す学びの場を創りたいという欲求が湧いてくる。
先日はインプロの要素を取り込んだグループワークにも挑戦した。
結果は、設計、実施した私が驚くようなものだった。

やはり原理原則は裏切らない。
基本に則って、ひとつひとつをきちんと実施することが、最大の成果につながるのだというのを強く感じることができた。

不安の中のチャレンジではあったが、チャレンジしたことによって、少し「広く」を進めることができたように思う。

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