グループワークの課題

研修におけるグループワークの課題、テーマというものは、目的に応じて作ったり選んだりするものである、ということを前回書いた。

だが、毎回全てがちがう研修ということもまたないので、共通に使えるような課題もいろいろある。

今回はいくつかそんな課題を紹介しようと思う。

「他己紹介」
自分以外の人の紹介をする、自己紹介のアレンジです。
最近は「他己紹介」というのはポピュラーになってきたようですが、私が思いついて10年前に実施したときにはほとんど聞くことがなかったものです。
ただ紹介するだけではなく、紹介の中に入れてもらう内容を指定すれば、知りたい情報を聞くためのよい手段となるし、アイスブレークとしての役割を果たすこともできます。
使えるときには積極的に使いたい、とても便利な課題です。

「ペン回し連想ゲーム」
テーマを提示してそのテーマから連想できる言葉を言います。
ペンをバトン代わりにして、言ったら次に回し、グループ対抗でどれだけたくさん言えたかを競います。
テーマの設定は、その日全体の内容に関することにすれば、研修に取り組む意識が自然と出てくるという効果的なチェックイン(ワークショップに参加する、という意識を作るためのもの)となります。
また、身体を動かし笑いも起きたりするので、アイスブレークの役割も果たせるという便利なものです。
自分の言った言葉をメモすることで、その後に役立つ言葉のリストとすることもできます。
ゲームでありながらブレインストーミングの役割を果たしますので、小さな発散が欲しいところであれば、できるだけ使いたい課題です。

「にょっき」
子供の遊びの「たけのこにょっきっき」です。
その場の雰囲気に合わせて動作を付けるかどうかを考え、番号を言うだけでもよいでしょう。
ノンバーバール(非言語)コミュニケーションを行いながら、1~人数までの数字を順番に言っていくゲームです。
動作も入ることと「まさかそんな遊びをさせられるとは」と意表を突くことで、場の雰囲気を和ませることができます。
言った番号に応じてグループ分けをするなどすれば、研修の中に自然に取り込めます。

「価値観の合意」
「愛情」「お金」など7つ程度の「概念」を提示し、まずは個人で重要な順番に番号を付けます。
その後、グループ内で話し合いにより順番の合意をとっていきます。
その際に、話し合い以外の多数決などの手段をとることは禁止します。
話し合いの時間はグループの人数によっても変わりますが、6人ほどのグループでは40分たっても合意がとれないところの方が圧倒的に多くなります。
自分の考え方と人の考え方は違うということを深く納得できるワークになります。
※振り返り必須

「文章を暗記させる」
二人一組のペアにより、実施します。
まずは70文字程度(文章の長さは目的によって変えます)の文章を作り、その文章を相手に話して暗誦させます。
暗誦できたら交代します。
この課題では、自分の話し方を強く意識することになり、その結果がすぐにフィードバックされるので、話し方のよい訓練になります。
言い直しを許すか、質問を許すか、などによってさまざまなバリエーションができます。
※振り返り必須

「読み聞かせ」
静かな物語を、相手に読み聞かせます。
間の開け方、話す速度、などが強く意識され、言葉を大切にしながら話す訓練にもなります。
「文章を暗記させる」に続けて実施すると効果的です。
※振り返り必須

「メモ禁止のワークショップ」
適当な課題(例えば、コミュニケーションとは?)について話し合いをするときに、手元のメモ、グループ共通のメモを禁止します。
より注意深く相手の話を聞かなければならなくなり、適切なタイミングでの確認が不可欠になります。
これにより、話し合いの場合の意識が大きく変わります。
※振り返り必須

「旅行代理店」
二人が旅行代理店と客に分かれて、旅行プランを作ってもらいます。
旅行代理店の人には、質問を使い分けつつ客の満足する旅行プランを作ってもらいます。
客の人は、旅行代理店の人の質問に答えてもらいます。
この課題の前に、質問の種類や仕方について学んだ後に実施すると、質問することに強い意識が働きます。
※振り返り必須

これら以外にもさまざまなグループワークを実施しているが、実施後の振り返りと、振り返り後の発表へのコメントが大きな影響を持つ。
コメントをしないという選択肢を選ぶことも含めて、振り返りをどのように受け止めるか、というのはとても大切なことだ。

ここでは一般的なコミュニケーション研修などで共通に使えそうな課題を書いてみた。
ネット上で見つけて、カスタマイズしながら使わせていただいているものも含まれる。
ここであげたものは、私の研修では何度も実施し、効果の確認できている課題である。
もし使えそうならば、ぜひ使ってみて欲しい。

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