圏外旅行

最近「圏外旅行」というのがあるそうだ。

携帯の電波が届かないところに旅行することらしい。

どれだけ圏外をなくすかに尽力している各キャリアが聞けばがっくりきそうな話ではあるが、気持ちはよく分かる。

私も携帯電話を持ったばかりの頃、フリーランスであったこともあり、携帯電話による連絡が取れないことが営業的に致命傷だと思っていたときには、それこそ携帯電話を枕にして寝ていたこともあるぐらいだ。
こうなると、強迫神経症と言ってもいいだろう。

だから、コミュニケーションが取れて当たり前、取れなければ不安になる、そういう心理はよく理解できる。

ある記事では「できるビジネスマンはメールを1時間以内に返してる」なんていうのも見たことがある。
しかし、すべてのコミュニケーションをリアルタイムで取る必要があるのだろうか。

そんなことはないだろう。

ないから「圏外旅行」なんていうものが存在できるはずだからだ。
とはいえ、実際には、圏外まで行かなくても、単に携帯電話の電源を切るだけでも同じ事はできるはずである。

では、なぜわざわざ「圏外」まで行くのだろうか。
明確な理由は分からないが、やっぱり自分でコミュニケーションを絶つことが怖いのではないだろう。
リアルタイムではないコミュニケーションを知らなければなおさらそうなのかもしれない。

だから「圏外」という言い訳が必要なのだ。
メールやSNS、またLINEなどの普及により、リアルタイムのネットワーク経由のコミュニケーションの比率が非常に高まっている。
若い世代にはそれしか知らない人もいるだろう。

いつでも誰とでもつながっていてあたりまえ。
それが今の状況なのだ。

だが、それは非常に疲れることである。
携帯の電源を切る、という簡単なこと。
これが今の時代、とても難しいことになっている。
今の時代に必要なのは、自分でいつでも携帯電話の電源を切れるような意識なのかもしれない。

コメントを残す