蒸気機関車と電車

蒸気機関が発明、実用化されて産業革命が起き、世界が変わった。

蒸気機関車の時代が長く続いたが、送電網を初めとする電化のインフラが整備され、電車に変わっていった。
その際に、新しい技術になじめず蒸気機関にこだわった会社や技術者はそこで行く手を阻まれただろう。

物事には大きな変化が訪れるときがある。

蒸気機関車から電気機関車への転換もそうだし、歯車式の計算機から、リレー、真空管、トランジスタと移り変わってきた計算機の歴史もそうである。
その他にも探せばたくさんあることだろう。

そして転換するときには、必ず何らかの抵抗がある。
その技術でずっと生きてきた技術者や、新しいものになじめない人達が、移り変わることを受け入れられないからだ。

それまで何年何年も長い年月をかけて蓄積してきた知識、磨いてきた技術が役に立たなくなってしまうのだから、あたりまえだろう。
だが、抵抗しても無駄である。
蒸気機関車が電車に取って代わられたように、歯車式の計算機が電気式の、また電子式の計算機に変わってしまったように、物事は変わるべくして変わっていく。

しなければならないのは、一刻も早く、その新しい技術に取り組み自分のものにすることだろう。
蒸気機関車の技術者は、列車の基本的な知識はある。
物理的な知識、材料に対する知識などもあるだろう。

それを活かして、新しい技術に取り組めば、より有利に学ぶことができるに違いない。
だから、移り変わることを拒むのはもったいないことだ。
研修を含む教育の世界でも大きな「移り変わり」が始まっている。

以前は誰もが疑うことをしなかった、講師が説明をし受講生が眠気をこらえてノートを取る、というような勉強の形が既に否定され始めている。
移り変わっていく先は、参加型の教育であり、モチベーションを高めて自主的な学習をうながす教育である。

この流れは、もう止まらない。
だが、研修の世界では、まだまだ蒸気機関車が走っている。
未だに蒸気機関車しか見たことがない人も多い。
そして、走り始めた電車から目をそらしている人もいる。

一方で、走り始めた電車にいち早く乗り始めている人がいる。

移り変わりが顕著になった段階で、きっと大きな差が出るだろう。
蒸気機関車も電車も、レールの上を鉄の車輪で走る、という意味では同じだ。
箱が連なっているという意味でも同じ。
運転以外の車内の運用も同じ。

駆動する力だけが違うのだ。
ぜひ、今までの研修しか知らない人に、これからの時代の「参加型、自主的な学習」をベースにした研修に「移り変わって」もらいたいと、心から願っている。

しがみついても乗り遅れるだけなのだから。

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