私の講師仲間に、受講生に順番に教えさせる、というスタイルをとっている、と言う方がいる。
その方法のメリットとデメリットは、ある程度想像できると考えていた。
メリットは教えるために学ぶので、非常にモチベーションが高くなること、デメリットは、学べる領域にムラができること、である。
受講生は当然ながら、技術の本質を理解しているわけではなく、教え方がうまいわけでもない。
なので、教える側は良いのだが、学ぶ側になったところについては、理解ができない可能性が高くなるのだ。
そのため、私の研修では、テスト対策など一部を除き、そのような「受講生が教える」というスタイルはとっていないのだが、先日の技術研修で「受講生に教えさせる」というスタイルを試してみた。
案の定、教える側の説明、は理解させる、というものではなかったのだが、その後に私の行った少しの補足だけで、理解が進んでしまった。
これは私の教え方が良いからではない。
教えるつもりで一生懸命に考えていたから、理解する素地ができていたのだ。
教えるつもりで考えてもらうことは、やはり素晴らしい理解への近道なのだ。
もっとよくこの手法について検討してみる必要がある。
今までは、デメリットに目が行き、あまり使ってこなかった。
だから、これまで、技術研修だからある程度の座学は仕方がない、と言ってきた。
そんなことはないのだ。
自主的な学びを引き出し、聞くだけの座学を最小限にすることが、よりよい学びにつながる。
あらためて考えてみれば、当たり前のことだ。
技術研修では、ある程度の座学はやむを得ない、などと言っていた自分が恥ずかしい。
教えるつもりで考えてもらう手法には、もう一つデメリットがある。
ムラなく理解してもらおうと思うと、時間がかかることだ。
だが、工夫する余地はまだまだある。
あと2週間もすれば、今年の新人研修が始まる。
その中で、最大の工夫をし、最大の学びを得てもらえるように、工夫をしていこう。
時間がないなら、効率を上げてひねり出す。
時間がないなら、重要なところにポイントを絞る。
できることを考えて、実施をしていきたい。
私が頭をしぼらずして、受講生に頭を使ってもらえるわけがないのだ。
今年は、教える内容も昨年までと違い、新たな挑戦ができる年となった。
ヒューマンスキルについても前面に出して研修を行うことができることにもなった。
まずは技術について、正しく学び、習熟することが必要である。
そして、工夫を重ね、よりよい学びの場を作るべくがんばってこよう。
挑戦。
今年の私の新人研修におけるテーマである。