私はそばが好きである。
子どもの頃は外食というと「ざるそば」しか食べなかったらしい。
今でも、そばの食感、香り、ともに好きである。
たまにとても食べたくなる。
ただ、ちょっと問題がある。
そばアレルギーなのだ。
私は、見た目、ちょっと丈夫そうに見えるらしく、アレルギーで、と言うと、うそでしょ、という反応が返ってくることがよくある。
だが、実際のところは、そば以外にも、柑橘系、瓜系、他各種花粉など、多くのものがアレルゲンとなっている。
キュウリも2本以上食べるとのどがかゆくなるし、鼻は年がら年中ぐずぐずしている。
ミカンも2個食べると、やはりのどがかゆくなったりする。
メロンも敬遠するし、桃もだめである。
スイカもなぜか大きめの二きれが安心して食べられる限界である。
10年以上前に、鼻とのどの手術で入院した際にアレルゲンの検査をしたのだが、1年中なにかに引っかかっていて、医者が「デパートみたいですね」と言ったほどである。
中でもそばはかなり重症で、一時期はそば殻の枕で寝ても鼻がぐじゃぐじゃになるほどだった。
立ち食いのうどんを食うと、そばも一緒のお湯でゆでているのでだめ、とかそういうレベルである。
自分で「そばセンサー」を名乗っていたぐらいの感度だった。
だが、そばは好きである。
食いたい。
あるとき、減感作療法、というアレルギーの治療方法があるのを知った。
アレルゲンをわざと身体に入れ、慣らして治療する、根治を目指す、唯一と言われている治療法である。
幸い、私には「アレルギール」という市販のアレルギーの薬がとても効果がある。
常に鞄には入れてあるのだが、これに頼る形で次のように考えた。
「自分で慣らしてしまおう」
まず、そばを食べる。
すかさず、アレルギーの薬を飲む。
アレルギーが出て、それを薬で抑えているために、けっこう身体がつらいのでその間は休憩である。
仕事の時には、昼飯に食べれば、午後は捨てる、ぐらいの覚悟でやっていた。
そして、しばらくたって、ほとぼりが冷めた頃にまた食べる。
これを何度か繰り返すうちに、そばを食べてもアレルギーが出にくくなってきた。
今は、普通のそばであれば(十割そば、などはまだ出るが)ほぼ1人前ぐらいは普通に食べられるようになってきた。
本来は、医者の管理下で、慎重に進めるべき治療法であるが、ちょっと乱暴な私の方法でも効果はあったらしい。
もちろん、他の人には自己流は勧められない。
下手すれば死んでしまうから。
なんで、こんなことを書いているのか。
先ほど、夜食で少しだけそばを食べたからである。
やはり、そばはうまい。
自己流減感作療法、万歳。