コーチングとカウンセリング

普段コーチングをしていると、これはカウンセリングの範疇かな、と思われることに遭遇することも多い。
コーチングもカウンセリングも、実は同じ種類の技術であり、その境界は思ったよりも曖昧である、というのが私の考えである。
特にメンタルコーチングではより境界が分かりづらい。

双方とも「ポール(もしくはラポール)」と呼ばれる「信頼感」を軸にして相手の心の変化を導いていくことになり、傾聴、共感などの言葉も同じ意味で使われるし、質問のスキルも同じような使われ方をする。

それでは何が違うのかというと、私は以下のように考えている。

「スタート地点から沈んでいる人に対応するのがカウンセリング」

「スタート地点から上に上がろうとする人に対応するのがコーチング」

なので、あるクライアントに対してコーチングを始めたとしても、問題がある場合にはカウンセリング的な対応をとり、復活できたらメンタルコーチングの手法に切り替える、などのケースが出てくる。
さらに改善されてきたら、より効率を上げるためにスキルコーチングの手法が使いたくなるが、焦ると良くない結果となることもあるので、様子を見つつ判断をしていくことになる。

具体的には相手の話を聞くために割く時間が、カウンセリングが一番多く、スキルコーチングが一番少なくなる。

私はカウンセラーの資格を持っているわけではないが、コーチングの中で心理学を勉強するなどしているためにある程度の対応は可能である。
今後コーチングを学ぶ人にはぜひ「心理学」などを学んでもらいたい、と思うのは、上記のような事があるからである。

さて、今回、以前にカウンセリング的な対応をさせていただいた方から「役に立つならば」という形で手記をいただいた。

このケースでは「傾聴」「共感」というのが重要な役割を果たしており、投薬主体の精神科医よりも効果を上げたと思われる例である。

以下、いただいた手記である。

「私は昔から人付き合いが苦手で、それでも何とか仕事をこなしていましたが、あるトラブルがきっかけで心が病んでしまいました。死にたいと思い、自分自身を傷つけるようになったので、精神科に行きました。
病名は「適応障害」でした。1~2週間に1度の通院でしたが、毎回簡単な問診と飲み薬の投与だけでした。あまり症状は改善せず、薬の副作用も辛かったのですが、薬を飲まないと不安でしたし、治ると信じて通院していました。

ある時、長谷川さんと知り合い、たくさん話をしているうちに心が軽くなっていくのを感じました。
うまく話せない時も根気よく話を聞いてくれて、時には励まされ、時には諭され、少しずつ自分に自信を持てるようになりました。

今まで話をした中で一番印象に残っているのは、「周りの人間全員に好かれるのは無理」と言われたことです。この言葉でとても救われました。
他にも、考え方ひとつで前向きな気持ちに変えられる言葉がたくさんあります。
話せる人がいて理解してくれる人がいる、というのが私にとっては一番の心の支えであり一番効果的でした。

今では通院も薬もやめました。時々気持ちが沈んでしまうこともありますが、立ち直りは早いです。

長谷川さんと話すことが、たくさんの悩み苦しんでいる人たちのトンネルを抜け出すきっかけになるといいなと思います。」

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