ノウハウ本を読む。
自己変革からデートの仕方まで、世の中には多くのノウハウ本が存在する。
人の話を聞く。
世の中にはいろんなノウハウをセミナーなどで話している人がいる。
変わろうと思って、できるようになろうと思って、ノウハウ本を読んだり、セミナーに行ったりした人も多いだろう。
それはもちろんいいことだ。
思っているだけでは変化はない。
行動するところから変化が生まれる。
だが、ちょっと振り返ってみていただきたい。
本に書いてあったこと、セミナーで話されたことが、全部できるようになっているだろうか?
必ずとは言えないが、まず全部はできていない人が多いだろう。
それでは、少しは変わって、人生に影響があった、と言える人はどれぐらいいるだろうか?
これはそれなりにいそうである。
最後に、ぜんぜん変わらなかった、という人はどうだろう。
これもかなりいそうだ。
実のところ、本をただ読んだり、話を聞くだけではなかなか行動に変化が起きることはない。
練習が必要なスキルについては、なおさらだろう。
理論を知っているだけではできるようにはならない。
畳の上の水練、という言葉があるが、どんなに水泳のノウハウ本を読んだとしても、それだけで、泳げるようになりました、とは言えないはずだ。
やはり水に入って泳いでみなければ、体の力を抜くのがどれだけ難しいのかはわからないだろう。
新しい考え方を知ったり、理論を学ぶのも大切である。
だが、それを自分のスキルにしようと思えば、水に入って浮いてみる、という経験が必要なのだ。
では、理論を勉強する必要はないのか、といえば、決してそんなことはない。
問題なのは、理論だけ、知識だけを知り、いざやってみたら浮けないから理論全部が間違っていると思うか、自分にはできないと判断してやめてしまうことだ。
身につけさせたいと思えば、浮けるところまでは経験させないとならない。
それをせずに、本を読めば知ることのできる理論や知識を伝えるだけでは、スキルを身につけさせるところまでたどり着けないことが多いのだ。
逆に理論を知らなくても、浮けた経験があれば次を学びたくなる。
それが試行錯誤してできたものならなおさらである。
「ああ、こうすればいいんだ」
こういう経験、自らの気づきがあればスキルを学び始められる。
学び始めれば、理論も知りたくなり、自分で調べるようになる。
本を読めばいいものは、本を読ませるべきだ。
それで質問があれば、ヒントを与えればよい。
そして試す機会を、考える時間をふんだんに与えよう。
それがスキルを身につけさせるための、唯一の道だ。