よく、知識はつながる、という話をする。
あることを初めて知ったとき、その知識は他の知識と関係がないことが多い。
特に知識の総量が少ないときにはなおさらである。
だから、いろんなことを勉強している段階では、それぞれの知識は独立して島のようになっている。
知識が「点」であちこちに散らばっている状態である。
学び続けると、それぞれの点が膨らんでいく。
そして、あるときに、近くの島とつながる。
まったく関係ないように見えたことが、一つの「線」で結ばれる瞬間である。
さらに学び続けると、それぞれの島がさらに膨らみ、線も太くなり、より多くの島がつながっていく。
これが、知識が「面」になるということである。
知識が「面」になると、何かが起きたときに、理解や判断に、より多くの知識を使えるようになる。
面の面積の中にあるものであれば、理解が驚くほど簡単になり、さらに的確な予測までできるようになったりする。
小さいときに自転車の練習をする。
乗れるようになったら「自転車島」ができあがる。
これは単に「自転車に乗れる」という知識や経験の島である。
ある程度大きくなったら、バイクに乗る。
バイクはこがなくてもよいが、曲がるときに車体を傾ける感覚は自転車と同じである。
そのことに気付くことで、「自転車島」と「バイク島」がつながる。
そして、スキーやスノーボードを始める。
アクセルもないし、こがなくてもよい。
だが、曲がる際には身体を傾ける、という感覚は同じである。
そうすると、「自転車島」と「バイク島」と「スノボ島」が結びつき、「傾けると曲がる大陸」ができあがる。
その状態で、例えば「ジェットスキー」のようなものに乗ろうとすれば、それは「傾けると曲がる大陸」のすぐそばか中にあるものであろうから、比較的楽であるし、曲がる際にも「傾ける」という動作を使うことが、自然にできるようになるのではないだろうか。
あまりよい例えではなかったかもしれないが、知識というものは学べば学ぶほど、経験は重ねれば重ねるほど、より大きな大陸を作ってくれるものである。
大切なのは、一つ一つを膨らませる努力をすることである。
膨らみ、結びつけば、それは強力な大陸になる。
その大陸は、新しいことを理解し学ぶのに、大きな力を発揮するに違いない。
たくさんの知識の点を生み出し、線でつなげて、大きな面にしていく。
それが学ぶことであり、経験を積む、ということだろう。