座学の使い方

私は技術研修であっても座学ゼロを目指して研修を実施している、ということを以前に書いた。

座学、すなわちテキストを音読し解説することだが、これは正直に言って意味がない。
考えてみて欲しいのだが、1日8時間話した内容のうち、どれだけを理解して覚えていられるだろうか。

たいていは30分ぐらいが限度で、場合によってはゼロなんてこともあるにちがいない。

つまり、座学は意味がないかとても効率が悪い、のだ。

本に書いてあることは自分で読めばいいし、その方が自分のペースで読めるのだから効果的なはずだ。
今の時代ネットを使えば調べるための材料も山ほどある。
だから、私は座学ゼロの研修を目指し、ほぼ実現できるようになってきた。
だが、最近、その座学を研修の効率を上げるための手段として使えないかと考えるようになってきた。
もちろん原則は変わらない。

自ら見つけ学ぶ事の方が深い学びにつながることは間違いない。
とはいえ、私が行っているのは時間的に制限のある研修である。
自主性を邪魔しない範囲で効率を上げられる方法があるのならば、是非とも採用したい。

そのように考えて座学に目を向けてみることにした。

音読し、説明するような普通の座学はやらない。
前に話したように意味がないからだ。

では、どうするかを考えてルールを決めた。
・理解のために必要な概念、用語をヒントとして、考え始める前に提供すること。
・そのために使う時間は30分までに抑えること。
・この手法を使う場面を極力限定すること。
このような考え方で実施をしてみた。
タイマーで30分をセットし、座学を始めるのだ。
その座学もテキストを読むことはほぼ行わずに、概念や用語の説明を簡潔に行い、時間が来たらやめる、というか、それまでの時間で説明を終える。

30分かけただけの効果があったかどうかの検証は難しいし、講師の独りよがりとなっている可能性も大きい。
だが、何度か実施した中で、座学に対する集中が切れなかったことを思えば、ある程度は効果があると思ってもらえていたのではないかと思う。
時間が充分にあれば十分な試行錯誤の時間を与え自ら見つけるのを待つことが一番良い。
ただ、その場合でも、気づくための工夫や、隠されたヒントを与えることは学びの効率を良くする。

邪魔をしない、手助けをするための座学のありかた。

これからの課題の一つである。

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