思うは招く

前回のブログの記事で植松努さんのビデオの話をした。

そこでは、可能性や自信を奪う言葉があることが、伝わる言葉によって伝えられている。
そしてもう一つ「思うは招く」という言葉も語られている。
私の仕事は研修講師である。

私の研修スタイルは「これまでの形」とは違う。

具体的には、以下のような点が異なる。

・技術研修であってもグループワークと課題により進め、座学は極力減らす。
・理論を伝えるよりも気づきによる理解を優先する。
・カリキュラムを受講生の理解などにより組み替えつつ進める。
・説明ができることは前提としつつも、できるだけ講師が話さないようにする。
・答えを伝えることはせず、受講生の言葉で講義を行う。

などなど、である。
間違いなく効果はある。

それは私が実際に目にしているから間違いない。

与えられたカリキュラムで実施する技術研修では学習効率は倍ほどになるので、空いた時間にはもとのカリキュラム以外の内容を追加することができる。

ヒューマンスキル研修でも、休み時間がないことに気付かないほど集中して考えてくれ、行動に変化が起きるようになっていく。
だが、これまでと違う研修、ということは、これまでの研修をしてきた講師や研修会社には受け入れられにくい。さらに、その効果を知らないクライアントにも理解してもらうことは難しいということである。

受講して体験した人が自分の状態を指して「不思議」と言うことが多いのだから、理解してもらうことがどれほど難しいのかは想像していただけるだろう。
これまでの延長ではなく、それこそ立脚する場所が違うのだから、しかたがないのかもしれない。
しかし、このような研修や学習の場のあり方は、これから先、必ず普及し定着していく。

既にあちこちに萌芽は見られる。
学校教育の現場でも、企業研修の現場でも、である。
コストの面からも、効果の面からもこのような研修が普及しない理由はない。

目先の利く人はそのような研修を受講するようになるだろうし、研修会社も競ってそのような研修を提供しようとするに違いない。
動き始めれば雪崩のような変化が見られるだろう、と思っている。
だが、今はまだまだ夜明け前である。
私の研修を受けていただいた方からは「長谷川さんは稼いでいるんでしょうね。」などと言われることもある。
それは私の実施した研修の効果を評価していただいてのことなのだと思うが、現実は全くそんなことはない。

まったく逆である。
青息吐息もいいところで、どうやって仕事を確保しようか、生きていこうか、常に胃が痛くなるほど悩んでいる。
文字通り、切羽詰まっている、というのが本当のところだ。
いくらでも頭を下げるから、安くてもいいから仕事と機会をください、と思う。
昨日、テレビを見ていたら漁師の方が思うように鯛が獲れるまでに30年かかった、という話が流れていた。
30年間、悩み工夫し粘ったそうである。
そして、奥さんがその漁師さんにかけ続けた言葉が 「夜明け前が一番暗いのよ」 だそうだ。

今はまだ、理解してもらうことも広めることも難しい。
だがやっていることに間違いはない、ということには確信がある。

だから、情報発信をすること、そして、いただける研修の機会に感謝をしながら全力を注ぐこと。
これを歯を食いしばりながら続けて行きたいと思う。
「思うは招く」
この言葉を信じて思い続けよう。

「一番暗いのは夜明け前だから」
じきに夜明けが来ることを信じつつ続けよう。
そう遠くない先にある、夜が明けた世界を想像しながら。

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