ミニラグビー交流会と組織論

今年も、私が所属しているラグビースクールにおける、最大のイベントが無事に終了した。
近県より24のラグビースクールが集まり開催される、千人規模(事前集計では2000人超)のかなり大きな大会である。

9:00から開会式が行われ、終了が15:30から16:00、グラウンド数は11面で、時間内はほぼフルに小学生の子供達のラグビーのゲームが行われ、今年は117試合+女子だけのゲーム3~4試合という具合である。

準備は、当日だけでも朝の5:30から開始され、撤収が終わったのは18:00ごろ。
実際の準備は9月からすでに始まっている。

一昨年までは、10年近く、スクール内の交流会担当という係をやらせてもらっていた。
昨年からは、対外的な交渉係という役割だけ残し、他の運用は他の方が担当されている。

私は、ラグビースクールで非常に多くの事を学ばせていただいているのだが、この交流会の運営でもまた、多くのことを学ばせてもらっている。

段取りの大切さ、自律している組織の威力、マニュアルのもろさ、リーダーの役割、情報共有の必要性、チームビルディング、リスク管理などなど、あげていくときりがない。
これらは、私が研修で伝えている内容でもあるのだが、それらの多くは、ラグビースクールで実践している内容だったりするのだ。

これらの中から「自律している組織の威力」というものについて少し書いてみたい。

今回の研修が終わって、担当の人がこんな感想を述べていた。

「普通だったら、最初に集まって、段取りを説明して役割を振って作業を始めるのだろうけど、みんな勝手に始めちゃってる」

その通りで、当日の朝の準備では、荷物を運ぶ段取りはするのだが、荷物を運んでしまえば、気が付けばそれぞれテントを張り、ラインを引き、ポールを立て、と勝手に動いていく。
そこには、最初の集合も、役割の割り振りもなにもない。

にもかかわらず、開会式までには全ての準備が整っている。

働いている人は、コーチだったり、保護者だったりし、事前の準備会議には顔を出していなかった人も多い。
にもかかわらず、それぞれが自分で役割を見つけ、自発的に行動し、それぞれの作業グループの中でリーダー的な役割を果たす人が出現し、という具合に勝手に動いていくのだ。

当然それぞれの作業の中で問題は発生する。
テントを張ろうとしたら部品が不足しているとか、グラウンドの線を引こうとしたらグラウンドのコンディションが良くないところがあったりとか、ポールを立てようとしたら工具がないなどとか、細かい問題はあげていったらきりがない。
だが、それらは、作業している人達の工夫と、お互いの情報交換などで、ほとんどが解決していく。

全ての人が機能することで、結果的に目的が達成されていくのだ。

私が担当をさせてもらっていたときにやっていたことは、漏れがないか全体を見ながらチェックし、問い合わせがあれば答え、その場で判断が必要ならばそれをする、ことぐらいで、細かい指示はほとんどしなかった。

自律的に動く組織の中では、細かい指示もマニュアルも必要ない。

それぞれが情報交換をし、考えながら動くことで、テントの部品が足りなければ取りに行ってくれる人が現れ、あらかじめ決められていたグラウンド配置通りではないグラウンドができてもそれが結果的にベストだったりし、工具が足りなければ持っている人を探すか、代替品を探し作業が継続する。

ないからできない、コンディションの悪いままグラウンドを作る、などということはおきないのだ。

このような組織があれば、リーダーはその役割に徹することができる。
組織を強くするためには、きっちりした目的があれば、あとは任せることが重要で、余分な口出しをしたりしなければいい。

私も最初は、しっかりとしたマニュアルを作ろうとした。
細かいところまで決めた資料があって、それを実現してもらおうとした。
でも、それでは、突発的な問題には対処することはできず、結局うまく回らない。

そんな経験を多くすることで、自立的な組織の強さというのを心から実感している。

問題があって、最初の予定からちがうことが起きれば「こんなふうにしておいたから」という報告が上がってくる。
それでいいのだ。
それで問題が起きるところがあれば、そこにまた伝えればいい。
目的がきちんとしていれば、それに対応してくれる。

予定と違うことがあって、それに工夫して対応してくれたら、こう言えばいい。
「ありがとうございました。」

リーダーの思い通りに動くのが良い組織ではない。
組織としての目的を達成できるのが良い組織なのだ。

そういう意味で、私の所属しているラグビースクールは、素晴らしい組織なのだ、と心から思っている。

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