研修においてプロジェクターはとても便利な機器である。
みんなの目を一箇所に集めることができるし、動きを見せることもできる。
事前に印刷できていない資料でも、見せることができる。
プレゼンなどでは、話の進行に合わせて動かすことで、より強いインパクトを得ることもできる。
だが、私は研修でプロジェクターを使うことはほとんどない。
プロジェクターを使うことにはデメリットもある。
特に技術研修において、受講生の手元に映すスライドと同じものがある場合には、デメリットが多くなる。
このような場合の、プロジェクターのデメリットを3つあげてみよう。
一つは、講師がそれを読んでしまいがちになること。
手元に同じものがあるのならば、受講生に直接読ませたほうがずっと効果的であり、時間も短縮できる。
次に、受講生が講師を見なくなること。
受講生が講師を見なければ、講師からも受講生を見づらくなり、受講生の様子を感じにくくなる。
部屋が暗くなることが多く、さらに受講生のことが感じられなくなる。
講師が映されているものを見ながら読んでいれば、接点もなくなってしまう。
これは双方向のコミュニケーションが必要という観点からは、致命的である。
最後に、スライドと異なる説明をしづらくなること。
スライドと同じことを読み上げて説明するだけでは、受講生が理解のために使える情報は1種類だけになる。
できれば、講師はスライドとは異なる言葉、手段で、説明したい。
そうすれば、受講生の使える情報はスライドとあわせて2つ以上になる。
もちろん、説明の言葉や手段が多いほど、受講生の理解につながりやすい。
ホワイトボードを使って説明すれば、スライドにひきづられず、必要なだけ自由に説明をすることができる。
これらが私がプロジェクターを使わない理由である。
もちろん、メリットが上回る場合には使うこともある。
大切なのは、ただ漫然と使うのではなく、メリット、デメリットを考えながら使うことであろう。