講師の使える道具にはいろいろあります。
プロジェクター、テキストなどは目に見えるものです。
調べるのに使えるテキストやインターネットは、技術研修などでは必須です。
プロジェクターも、場合によってはとても効果的なものです。
視覚からは、一度に多くの情報を与えることができます。
プロジェクターで文字を映して読ませるぐらいなら、テキストを読ませる方がずっと効果がありますが、図を見せたりする場合には、色情報があること(テキストは単色が多い)もあり、関連性などの理解にはとても役立ちますし、動きも有効に使えます。
ホワイトボードは、講師の伝えたいものをすぐに形にして表現できます。
プロジェクターを使うときのように事前の準備が必要ありません。
ですから、受講生とセッションをしながら行う研修では必須です。
私の場合には、プロジェクターがなくても研修はできますが、ホワイトボードがないと、そうとう困難になるでしょう。
もちろんマーカーのインクがなかったりしても使えませんから、私の場合予備カートリッジと共にマイマーカーを持ち歩いています。
課題そのものも講師の使える重要な道具です。
グループワークや個人ワークで出す「課題」は、講師からの質問の役割を果たし、「○○するにはどうしますか?」という質問に対して、受講生が必死に考えることで、多くのことを学んでくれます。
課題はただ出せばよい、ものではなくて、これを考えたら何を学べるか、という意図を明確に持っていなければなりません。
課題の負荷も「ぜんぜん分かりませんでした」という答えしか出てこないようなものでは論外ですし、「簡単にできちゃいましたよ」というものでも学びは期待できません。
目的と、適切な難易度を持った課題だけが、講師の道具になりえます。
もちろん、グループワークはたんなる暇つぶしや遊びではありません。
意図を持って使いこなせれば、座学など比べものにならない効果を生む素晴らしい道具です。
このように講師の使える道具はさまざまあるのですが、もっとも大切な道具は、言葉、です。
言葉がうまく伝わらなければ、プロジェクターも見るだけ、ホワイトボードにも何を書いているか分からない、課題もなんとなく始めてしまい、わけが分からず終わる、という結果になりかねません、というか、なります。
さらに、言葉が伝わらなければ、講師と受講生の間の信頼関係の構築もできず、それでは研修の場の雰囲気も作ることができませんし、場合によっては研修場の維持さえ難しくなるでしょう。
ですが、きちんと言葉を使うことができれば、受講者の中にさまざまなイメージを作り出すことができ、場合によっては望む以上の効果をあげることができます。
以前も書いたと思いますが、私が理想とする研修講師をするためには、言葉をちゃんと使えることが
必要最低限の条件になるのでしょう。