とあるIT系企業の研修講師による |
☆新人研修物語☆ |
人の力を引き出す新人研修の記録 |
長谷川貴則 |
内容
前書き… 1
1章 スタートダッシュ… 3
1. 方向を示す… 4
2. 心を溶かす… 8
◆コラム◆ 受講者の気持ち… 15
2章 グループワーク… 16
1. 初めてのグループワーク… 17
2. 共同作業の面白さ… 24
3. ワークショップと気づき… 29
◆コラム◆ 成長の実感… 31
3章 学びの形… 32
1. 技術を学ぶ… 33
2. 教え合う関係… 36
3. 教えて怒られた??… 38
◆コラム◆ 学ぶ場の醸成… 40
4章 意識を変える… 41
1. そんなの知りません!… 42
2. 答えはもらえるんですか?… 46
3. 「これでいいですか?」… 48
◆コラム◆ 自発的な行動を引き出す… 49
5章 技術講習だけど… 50
1. 変なワークショップ??… 51
2. 異文化交流… 55
3. コミュニケーションって何?… 58
◆コラム◆ 大人でも知らないコミュニケーション… 62
6章 チームの中の自分… 63
1. 任せる、任される… 64
2. 三人寄れば文殊の知恵… 68
3. リーダーって何?… 70
◆コラム◆ チームで作業するために必要なのは?… 75
7章 気持ちの問題… 76
1. チーム内での不和… 77
2. 人を認める… 81
3. 悩み… 83
◆コラム◆ 受講生を知るには… 86
8章 育てる講師の姿勢… 87
1. 自発的行動と講師の関係… 88
2. できすぎる新入社員… 90
3. 雑談の使い方… 92
◆コラム◆ 講師の仕事は休みなし… 94
9章 強くなれ!… 95
1. 潰されそうなプレッシャーの下で… 96
2. やらなければ、と、やりとげたい… 98
3. チームワークの充実感… 100
◆コラム◆ 楽をさせるのは受講生のためにならない… 102
後書き… 104
前書き
本書では、私が最も経験のあるIT系企業の新入社員研修を題材にして、実際の新人研修中のいくつかのシーンを描いています。技術系の研修ではありますが、技術的な部分はできるだけ少なくしてあるので、他の業界の方にもお読みいただけるでしょう。
組織によって新入社員研修の期間はさまざまですが、ここでは二ヶ月程度の期間を想定しています。実際のIT系企業の新人研修ではプログラミング技術の訓練が多くを占めることになりますが、技術の訓練をしながらも、さまざまなヒューマンスキルの訓練を行っています。
もし、仮にヒューマンスキルの訓練だけを取り出したとしても、一ヶ月程度は必要になると思われるぐらいの内容です。もちろん、技術研修としては二ヶ月分以上の内容を含むものなので、ヒューマンスキルがおまけで付く、と考えていただければよいでしょう。
私の実施する技術系新人研修では「技術はもちろん学び技術レベルも大きく向上したが、研修期間のほとんどの期間をコミュニケーションについて考えていた。」という感想をたくさんもらいます。
そのぐらいコミュニケーションスキルを重視し、技術を学びながらコミュニケーションスキル、チームでの活動スキルなどを身につけられるようにしています。
これは、新入社員の方が社会に出るにあたり、最初に直面するのが各種のヒューマンスキルの問題だからです。
「企業が新人に求めるスキル」ランキングが発表されると「コミュニケーションスキル」が多くの場合に一位になっています。これは、現場で「新入社員にコミュニケーションスキルが足りていない」と思われているからに他なりません。
現代は、地域社会とのふれあいが少なく、他の学年の子供と遊ぶ機会が少なく、友達と遊ぶときも集まって黙々とゲームをするような時代です。
そんな中でコミュニケーションスキルが育つはずはありません。
良い悪いは抜きにして、今はコミュニケーションスキルは意識して学ばせなければ、身につけられない時代になっているのです。
そんな問題意識を持ちながら、私は新人研修の講師として活動をしています。
他者との関わりの中での自分に気付き、チームの一員として活動することのすばらしさを知って欲しい。
自ら学びに行くことで、自分が成長する喜びを知って欲しい。
そんなふうに考えている講師が行っている、技術系企業の新人研修の様子をご覧ください。