講師の「講」という字は「解き明かす、述べる」「習う、稽古する」という意味があるそうです。
一般的に講師というと「述べる」仕事だと思われるかもしれないが、本来の講師の仕事は「習わせる」ことであるはずである。
習わせるために、勉強させるために、身につけさせるために、「述べること」「説明すること」が必要なのは当たり前のことに思えるだろう。
だが、本当にそうなのだろうか。
ちょっと考えたら分かる例を挙げてみよう。
1・あなたは5時間かけて説明された内容をすべて覚えていられますか?
2・あなたはどんなことでも説明されたことをその場で理解できますか?
おそらくほとんどの人は上記の2点について「NO」という答えになるだろう。
ほとんどの人は覚えていられる量には制限があるだろうし、知らない言葉が出てくるだけでも理解の妨げになるものである。
5時間も6時間も話を聞かされるだけの講習を受けたことのある方は、このようなことを実感されたことがあるのではないかと思われる。
そして、あげくのはて、分からなくなると眠くなる。
眠くならないためには、自分で調べ、考え、確認することである。
自ら学ぶ姿勢があれば、眠くなどなりはしない。
立場を変えて講師の側からすると、述べるだけ、説明するだけの講師ではいけないのである。
受講者が学び、身につけるためには、「習わせる」「学ばせる」講師でなければならない。
説明だけで理解させようとするほど効率の悪いことはない。
学ばせるためには、必要なことだけを説明して、たくさん練習させる講師でなければならない。
それこそが講師の仕事なのである。