いくつかのグループワーク

前回のブログに、グループワーク中心の研修について書いた。

今回は、いくつかグループワークの例をあげてみたい。

ただ、注意していただきたいのは、グループワークは「ただやってください」で成立するものではないことである。
目的を認識した上で、正しいインストラクションや準備がなければうまくいかない。

「ある程度複雑で効果の高い課題」ほど、そういう傾向がある。
実施にあたっては十分注意をしていただきたい。

「学生と社会人」
おそらく多くの新入社員研修で実施されている課題だろう。
このグループワークの実施にあたっては、講師側のコメント力が成果を左右する。
何を訴えるのか、何を感じてもらいたいのかを、講師が明確に持っていることが大切である。

「コンピュータは何をしている?」
IT系企業の技術系新入社員研修や、同様の研修の講師の育成の最初に使う課題である。
あたりまえのように知っているはずのものをきちんと説明できない、という経験をすることによって、学ぶ事に対するモチベーションを一気に作り上げることができる便利な課題である。
ただ、講師も説明できないようであると、なんのために実施しているのか分からなくなるので注意してほしい。

「CPUごっこ」
これもIT系企業の技術系新入社員研修の定番となっている。
CPU(コンピュータの中心的な部品)の動きを人がまねをして再現する、というものであるが、さまざまな要素が含まれて非常に効果が高い。
そのぶん、インストラクションが難しいので、準備と練習が欠かせないだろう。

「最低最悪の○○を考える」
NHKで放送していた「スタンフォード白熱教室」でやっていたグループワークであるが、ブレインストーミングの可能性に触れてもらうためには素晴らしい課題となっているので、使わせてもらっている。
○○の部分は、オリジナルは「家族旅行」であるが、状況に合わせて適宜変更している。

「ある言葉から連想することばを10書き出して、グループで比べる」
例えば「光」という言葉を書き、それから想像する言葉を10個ほど書いてもらう。
その後グループでいくつ同じ言葉を書いたかを付き合わせてもらうと、言葉に対して持っているイメージの違いを浮き彫りにすることができる。
コミュニケーションに関する内容で、相手のことを考えなければならない、という意識をつくるのに役立つ。

「設計書を書いて、他のグループでコーディングする」
IT系企業の新人研修でよく使うが、ドキュメントで会話をする練習である。
何度も繰り返してフィードバックをもらいながら改善をしていくことで、めざましいドキュメントの作成スキルの向上が見られる。
振り返り作業の徹底と繰り返しが成長の量を決める。
なので、プロジェクト演習を一度だけ行う、というのでは、繰り返しが圧倒的に足りないので、多くの成長は望めない。

「文章の構造を図で表す」
新聞の社説などの文章の構造を図で表現してみる。
いくつかの文章(分かりやすいもの、分かりづらいもの)で同様の作業をしてみると、文章の構造について意識が出来るようになる。
適切な文章の選択が鍵である。

「質問を考える」
条件を設定し、質問をできるだけたくさん考えてもらう。
発表し、有効な質問を選んだり、個数を競ったりするのもよいだろう。
コーチングの「質問をするスキルを鍛える」の導入として取り入れている。

私がよく使っているグループワークの中から一部をあげてみた。

最初にグループワークありき、ではない。
学んでもらいたいことがあれば、それに対してグループワークを考えることができる。

よく「とりあえずグループワークでもしておけ」的な考え方に出会うが、それは目的が違う。
目的はあくまでも「学んでもらうこと」であり、「どう学んでもらうか」についての考察からグループワークが生まれる。
学んでもらいたいことについての講師側の意識がなければ、グループワークは機能しない。

私自身が実施しない場合でも、グループワークの設計とインストラクション指導はできることがある。
もし、研修で学ばせたいことがあるならば、ご相談いただきたい。

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