本年度の新人研修が終了した。
まだ、事務処理や報告会が残っているが、会場での研修は終わったので、終了した、と言ってもよいだろう。
私が研修でよく使う話の1つに「一日2時間」というものがある。
1日2時間を1年続けたら何時間になる?
その時間を仕事などの活動時間の8時間で割ったら何日になる?
簡単に言うとこんな話である。
計算してみよう。
2時間×365日=730時間
730時間÷8時間/日≒91日
休日を除けば、驚くことにほぼ4ヶ月の活動時間と同じになってしまう。
この話をした後に、次のような話をつなぐ。
「2時間をぼーっと過ごしても、晩酌をして過ごしても、本を読んで過ごしても、勉強をして過ごしても同じ2時間です。
1日24時間という時間は全ての人に平等です。
変えられるのはその使い方です。」
それともう一つ、時間には密度がある、という話もする。
「ぼーっと過ごしても、必死になって考えて過ごしても、同じ1時間です。
時間は全ての人に平等ですが、自分で密度を変えることができます。
この研修をここまで受けてきた君たちなら実感できるでしょう。」
今年は、昨年までに比べて内容も多く、かつ短い日数での研修であったため、私自身もこの「時間の使い方と密度」を強く意識した。
具体的には、課題の期限の設定などにより、研修時間外の時間もできるだけ研修に意識づけるようなことを行い、場合によっては(人事の方にご了承をいただいた上で)残業が前提となる作業量を割り当てたりすることで少しでも多くの時間を学ぶことにあてることを心がけ、作業の順序やテンポ、期限の設定などにより密度を上げることを考えた。
例えば「理解度テスト」なるものも用意されているのだが、それも本来の目的を変えて「勉強する時間」にあてた。
さらに、参加意識を高めるために、以前にも書いたとおり座学を可能な限りなくすことや、受講生からの提案の受け入れや、意志決定の講師からの委譲も行った。
これらは私にとっても挑戦であり、人事担当の方の「新入社員のために良いと長谷川さんが考えることなら、なんでもやってください。」という言葉にも大きく助けられ実現できたものであるが、効果も上がったと思うし、私自身にも多くの気づきを与えてくれた。
このような研修を実施した結果、一月半の研修であったのだが「1年以上研修をしている気がする」という感想が出てくるぐらいのものにはできたようである。
「人間50年、下天のうちをくらぶれば夢幻の如くなり
ひとたび生を得て滅せぬもののあるべきか」
織田信長の好んで詠んだ敦盛であるが、信長の48年の人生は、恐らくとてつもない密度だったのだろう。
信長の没年と同じ歳になりつつあるが、もう少し生き、信長の人生と同じような密度の人生を送りたい。