世の中の商品には値段がついており、欲しい人はその値段分の費用を払ってその商品を購入する。
何を当たり前のことを言っているのか、と思われるだろうが、先日、仕事の打ち合わせに行ったときに、こんなことを改めて考えるような言葉をもらった。
私が「私の講習の値段は、本当は、やっているところを見てから決めて欲しい」と話したときのことである。
これを受けて、先方の方が「よっぽど自信がないとそんなふうには言えませんね」と言われた。
私のような講師の仕事にはだいたいの相場がある。
もちろんプログラマにもあるし、他の一般的な仕事にもだいたいの相場があるだろう。
代表的な普通車はだいたい150万あれば買えるよね、というレベルの話である。
一般的な講師はだいたい○○円だよね、という相場があるのだ。
車には代表的な相場の車しかないわけではない。軽自動車ならば安くて100万弱、ファミリーカーが200万前後、高級車が500万から、みたいな形で、商品の価値に応じての相場がある。
実は、講師でも、仕事のレベルに応じて値段がつくことがある。
ただテキストを読むだけの講師、決まり切った説明しかできない講師では安い車、一通り自分の言葉で説明できればファミリーカー、受講者の心に火をつけるようなことができれば高級車、みたいな感じだろうか。
実際には、受講者やクライアントの満足度や評価によりに、レベルが決まると考えて良いだろう。
もちろん、テレビに頻繁に出ているような著名人であれば、フェラーリレベルの付加価値となるが、それは別格である。
車が欲しい人は、自分の予算と車のレベルを秤にかけて、いくら払えるのかを考え、車を買う。
同じ事が「研修」というサービスを買うときにもあるべきだろう。
ただ、「研修」というサービスを買うときの問題は「講師の価値」「研修の価値」というのが車ほどは明確ではないことだろう。
テレビに出演している、著作がたくさん売れている、などの付加価値がない限り、その価値や性能が「カタログに書いてある」わけでもないし、「全ての講師が紹介されている雑誌」があるわけでもない。
残念ながら私はテレビに出てもいないし、たくさん売れた本の著者でもない。
結局、講師を見てもらい、研修を見てもらい、その価値を判断してもらうしかないのだ。
そんな意味で冒頭の話をしたのだが、私にとっては当たり前のことであるし、その上で、高級車やスポーツカーと認めてもらえるようになりたいし、ならなければいけないと思っている。
そして、その価値分の費用を払ってもなお、私が提供できた価値に満足してもらえるようになりたい。
「自信があるか?」と聞かれれば、あると答えるだろう。
これまでの実績からみても、決して悪くない結果を残しているつもりである。
ただ、高級車を求めている人に、ファミリーカーの自信ではいけない。
だから、ファミリーカーを欲しいと思っている人に高級車の価値を、高級車が欲しいと思っている人にはスポーツカーの付加価値をつけられるような研修を行いたいのだ。
自信はあるが、さまざまな条件の下での仕事になるので、挑戦の部分が必ずあるので、気は抜けない。
世の中には「ファミリーカー分の費用しかもらわないから、ファミリーカーを売ってきてください」という場合もある。だが、私は一ランク、二ランク上のサービスを、提供し続けたいし、それが許される環境で仕事をし続けていきたいと思うのである。