週刊ダイヤモンドなどの経済やビジネスなどの書籍や雑誌、小説を出版している出版社ダイヤモンド社から「人材育成の教科書」という書籍が販売されている。
http://www.diamond.co.jp/book/9784478062470.html
18人の研修講師、コンサルタントという専門家の考え方や行っていることが紹介されている。
各専門家が直接文書を書いているわけではなく、取材を受けて記事の形でまとめられているので、ある程度は客観的な書き方がされている。
なぜ、こんなことを書いているかというと、この本の199ページから212ページまでに私が紹介されているからである。
「徹底したカスタマイズで心に火をつける研修を目指す」
というのが私の項につけていただいたタイトルになる。
このタイトルは、取材の時にいろいろお話をさせていただいた中から、取材をしてくださった方が考えてつけてくれたものなので、私が「こうしてほしい」といってついたものではない。
きっと取材していただいた方には、まったく同じ研修はない、というのが印象的だったのだろう。
今日は研修を提供されている研修会社さんにお邪魔してきたのだが、そこでも関連した話が少し出ていたので、この「カスタマイズ」ということについて少し話をしてみたい。
よくある研修というのは、あらかじめ研修のカリキュラムが決められており、場合によってはタイムスケジュールも綿密に作られており、その会社でその研修を受ければ毎回同じ内容の研修となる、というようなものである。
質問の多い少ないなどで多少の時間のずれはあるだろうが、基本的には毎回同じ内容、というのが基本で、毎回同じことができることを「研修の品質」としてうたっている研修会社も多い。
ある意味、毎回きちんと同じ内容ができることはよいことである。
講師のスキルが足りずに、言ってること、やってることが毎回違う、というレベルに比べれば、いつでも同じことができる、というのは意味があることである。
だが、それができることは講師として最低限のスキルである。
ある意味、やろうと思えばできて当たり前、のレベルなのだ。
研修の目的は、決められたカリキュラムを実施することではない。
受講者の方の成長こそが目的である。
用意したカリキュラムが受講者にマッチしないものであれば、マッチするようにしなければならない。
そのためには、受講者のことを知り、受講者の求めていることを理解し、必要なカリキュラムを組み立て直す必要がある。
場合によっては、当日その場でカリキュラムを変更して実施することも辞さない。
1日の研修ではそうするしか方法がないのだ。
だから特に短期の研修では、事前に用意するカリキュラムはいくつかのメニューの集合体として準備し、その場で観察をしながら実施内容を選んでいく。
事前に用意したもので足りなければ、その場で足したり、新たなものを考えたりもする。
受講者の成長が目的だから、そのために受講者にマッチした研修を実施する。
実施環境が違えば、受講者が変われば、当然マッチした内容というのも変化していく。
だから、カスタマイズが必要なのだ。
研修内容の徹底したカスタマイズは、研修をすることが目的なのではなく、受講者の成長が目的であることの一つの証なのだろうと思っている。