講師業をしていると、研修の「質」という言葉をよく聞く。
恐らく、研修会社の営業の方から「研修の質」という言葉を聞いたことがある方も多いことだろう。
だが、おもしろいことに「研修の質」という言葉の意味するものは、実はばらばらである。
あるところでは、研修の質を独自のテキストで担保しているとし、あるところでは錬られたカリキュラムで質を確保していると言い、他のところでは、分単位で再現できる研修を行って、それを研修の質、と呼んでいたりする。
以前にも書いたが、私は一つとして同じ研修を行ったことがない。
受講者や環境が違うのだから、私にとってはそれがあたりまえなので、例えば、分単位で再現できることを質というのは難しい。
また、受講生の理解度を考えての、カリキュラムの現場での組み替えもよくある話である。
テキストがよいのはもちろんいいことであるが、それを読み上げるだけでは研修にならないのも論を待たないだろう。
このように、研修の「質」というのを考えるのはなかなか難しい。
とはいえ、研修を行う際には、私もより質のよい研修を実施したい、と考えている。
私の考える研修の質、というのはどんなものかを簡単に説明すると以下のようになる。
1・受講者にマッチしたカリキュラム
2・事前の徹底した準備
3・受講者にリアルタイムで対応できる講師スキル
4・受講者の自主的な動き
これらがそろって「質の高い」研修ができると考えている。
ただ、どれも「担保」するのは難しい。
よいカリキュラムを作る努力、事前準備、講師スキルの向上には心がけているのだが、それを「していますから」では担保にならない。
自主的な動きの引き出し方も、ケースバイケースなので「こうします」とも言いづらい。
営業的に「これです」と言えないのはつらいところではあるが、無理に数字などを示すことで縛られて、逆に質が落ちては本末転倒である。
結局、上記のような要素を「研修の質」と考えてくださる研修の担当者、受講者を増やしていくしかない。
体験していただければ、それが「よい研修」だとおわかりいただけると思うので、地道に「質のよい研修」を続けていこう。