ナミダマネジメント

私が研修において注意していることの一つに「ナミダ管理」がある。

私は、ナミダもろい。

本を読んでも、映画を見ても、芝居を見ても、ドラマでも、漫画でも、とにかく泣けてしまう(もちろんそういう内容であれば、だが)。

そんな私なので、研修中に遭遇するさまざまなシーンで、ナミダが出そうになることがよくある。

悪いことだとは思わないのだが、45歳を超えたオジサンとしては、あまりメソメソするのは格好悪いので、やはりナミダ管理は重要だ。

研修において、もっとも危険なのは最後の挨拶だ。

以前、最後の挨拶が終わって、受講生から言葉をもらっているときに、その受講生が目の前で大泣きを始めたことがある。私もつられて大泣きである。
マネジメント大失敗である。

また、ある時には、最後に花束をいただいたのだが、泣きながら渡してくれるのも反則である。そのときも涙ぐんでしまった。
これも失敗である。

なので、最近は工夫をしている。
まず、受講生を泣かさないことが一番である。

だから、最後の挨拶は、楽しく面白く、が基本だ。

涙ぐむ人もいるが、見ても見ぬ振りである。
一人一人にコメントをするなど、もってのほかである。さまざまなフラッシュバックにより、双方とも涙腺が緩むのは必至だ。
ナミダリスクマネジメントの観点からはしてはならない。
だが、事情を知っている(私を泣かせようとしている)研修担当者が「一人ずつコメントをお願いします。」などと言うことがあるので油断は禁物である。

他にも、頑張って課題ができたときの顔を見ることも危ないが、これはコメントせずにガッツポーズでごまかすこともできるので、対応は難しくない。
ガッツポーズの後で、物影でナミダを拭けばすむ。

だが、今年の新人研修では、新しい問題があった。

ある日のコミュニケーションシートの中に埋められていた爆弾である。

提出時に一目見て涙ぐみ、家に帰って読んで涙ぐみ、コメントを考えるたびに涙ぐむ、という危険きわまりない文章だ。

選択肢は二つ。
読むか、読まないか。

爆弾の全文である。

「A班発足時、班員の中で、「コ ーディングを完成させたら私達の勝ち」というルールを設定しました。
本日昼、勝利を収めることができました。
明日は発表のトップバッターとして、一番にプロジェクト演習を完了するのはA班です。ベストを尽くします。」

短い文章の中に、困難に立ち向かう決意と、やり遂げた充実感と、自分と班に対する自信と誇りが余すことなく表現されている。
間違いなく名文だ。

私にとって、読まずにすませることができる文章ではない。覚悟を決めて読んだが、やはり涙ぐんでしまった。

思う。

こんなに日々、感動の種が転がっている講師という仕事はすばらしい仕事だ、と。

泣くのはちと格好悪いが、そんな気持ちになれることは、素晴らしい。

もう、いっそのこと、格好つけずにワンワン泣いてしまおうか、とも、ちょっと思う、今日この頃である。

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