私の研修講師としての仕事の幅は比較的広い。
これまでの経験を活かしてのIT技術系の研修はもちろんのこと、新人研修、コミュニケーション研修、管理職研修、チームビルディング研修などに対応する。
そんな中で、就職支援の研修を行ったことがある。
内容は、IT系の技術講習で、Java&Android という最新(?)のものである。
幸い、私の講座を受講してくれた受講生の講習終了後の就職率はかなり高かったようで、研修を実施している最中に就職を決めてくれる人も何人かいた。
最終的には(計算方法は知らないが)80%の就職率だったそうで、それなりの実績らしい。
そんな就職を決めた受講生たちに「何が役に立った?」と聞いてみたことがある。
その答えはおもしろかった。
「人前で話せるようになったことです。」
IT技術系の研修にもかかわらず、上記のような答えが一番多かったのだ。
私の講習では半年間の研修だったのだが、開始時に3分間スピーチを実施していた。
スピーチでは常に緊張を保ち、頭を使い、聞かれていることを意識しなければならない状況を維持するのに気を遣い、休まずに最後まで良いテンションでスピーチを続けることができた。
それ以外にも、グループワークを取り入れ、ワークショップをし、プレゼンも何度も行った。
それらの経験が、人前で話すことが怖くない、自分の考えを言えるようになった、という感想につながったのだと思う。
順番は決まっていたので、前の日から、または前の前の日から、一生懸命でスピーチの内容を考え、時間を計って練習をし、すてきなスピーチをしてくれた人もいたし、緊張しながら一生懸命で震えながら話してくれていた人もいた。すばらしい話芸を惜しげもなく披露してくれ、みんなの見本となってくれた人もいていい刺激をもらったりもした。
それを繰り返すうちに、話すときにはリラックスして自分の言葉で話すようになり、それを受け入れてもらいフィードバックをもらうことで、承認の感情を得られるようになったのだろう。
研修の内容に沿った会社に就職してくれた人も、その内容とは違う分野に就職してくれた人もいる。
だが「人前で話せるようになったことが大きい。」という話はどちらからも出た。
就職活動は依然として厳しいと思う。
もちろん私は就職の面接官ではないし、その経験もない。
だが、送り出す側としては「きちんと話し、聞く練習はしていったほうがいいよ」と言っておきたい。
だいぶ前から、企業が望むスキルとして「コミュニケーション」は一位になっている。
それに、おそらく就職だけではなく、その先の人生にも必ず役に立つから。