研修の仕事をしていると、多くの場合、いくつかの事前情報をもらうことになる。
研修会場の場所や設備に関するもの、研修の内容に関するもの、そして受講生に関するもの、である。
これらの中でも、受講者に関する情報は講師として最も知りたい情報だろう。
だが、私のこれまでの経験からいうと、この受講生に関する情報が正確だったためしがない。
もともと正確な情報がない場合も多いし、新人研修などで、所属企業様にうかがうと「謙遜」フィルターがかかったりもする。
営業レベルでのコミュニケーションミスの場合もあるし、うっかり、なんてこともある。
このように、理由はともかくとして、結果的に正しくない情報が届くのである。
また、欲しい情報がない場合もある。
問い合わせても「わかりません」と返ってくる。
このようなことを何度も繰り返すと、だんだん、自分でどうにかするしかない、すればよい、と考えるようになる。
特に技術講習では、受講者の知識、スキルがどれぐらいのものか判断するところから、研修が始まると言っても間違いではないだろう。
また、設備でないと困るもの、例えば、ホワイトボードマーカーなどは、自分で持ち歩く。
グループワークで使う模造紙やマーカーも同じである。
用意する、と言ってもらっていても、念のため、自分でも持ち込む。
結局、講師という仕事では、現場であるものに対応して研修を実施し、どうしても使いたいものは自分で持ち込む、というのが必要なのではないだろうか。
講師の瞬発力、という言葉を私はよく使うが、受講生のスキルを判断するのも、あるはずのものがない、という不慮の事態に遭遇しても対応するのもそれなのだろう。
判断力はなくてはならないだろうと思うし、瞬発力も鍛えないとならないが、準備を周到にすることで、多少は負荷も軽くなるだろう。