私の研修では課外授業があることが多い。
もっとも、課外授業とは言っても、一般的な「補講」などとは違う。
私の研修では「残って勉強していってもいいよ」ということはあっても「残って勉強していきなさい」ということはほぼない。
もちろん、受講生が残るときには私も残っている。
新人研修が始まって九日たった。
初日から一部の受講生と昼食を共にしているのだが、ここ3日ほどは夕食も一緒に食べている。
研修会場の状況にもよるが、新人研修ではこのように食事を共にすることも多い。
食事の場ではさまざまな話をする。
朝のコミュニケーションシートのフィードバックの時間にも30~40分ほどいろいろな話をするのだが、食事の場での話はそれとはまた別である。
これまでの私の経験、考え方、研修の意味などさまざまなことを伝えることに使えるし、研修時間中には伝えきれない一人一人へのメッセージも伝えられる。
また、悩みを持っていたり、ヒントを欲しかったりする受講生が一緒に食事に行くこともある。
この傾向は、新入社員研修では特に強い。
学生から社会人へ、という大きな環境の変化に伴い、考え方、価値観などさまざまな変革を迫られる新入社員研修では、一人一人が悩むことが多く、その悩みも一様ではない。
多くのことを考えて、ヒントが欲しくて講師とできるだけ多くの時間を一緒にいたい、と思うのだろう。
同じ事は休憩時間にも言える。
喫煙室、休憩中の雑談などを通しても伝えられるものは沢山あるし、講師の側から見ても突破口となることもある。
このような研修時間外の話だったり、質問への回答が私の課外授業である。
課外授業を意識すると、休憩時間も食事の時間も私は講師でいることになる。
研修が終わってから、翌日の準備をして寝ることになる。
かくして、特に長期の研修においては、寝ている時間以外は講師でいることになるのだ。