先日、講師講習の中の電話対応の練習をする機会があり、私は電話を受ける企業の人事担当者という役割をさせていただいた。
役割としては、人事担当者に電話をする講師から電話を受け、それに対して応対するという簡単なものなのだが、人事担当者が受けた電話にどのような対応をするのか、というのを、比較的意地悪に再現するために、非常に集中して聴くことになった。
言葉一つ一つに注目し、つっこむ余地があればつっこみ、自信なさそうな様子であれば、それに対応して声にも心配そうな様子やいらだちをにじませる。
さらに、話を聴きながら、相手の想定していなさそうな質問をしてみる、などリアルに意地悪に対応することにつとめた。
練習の甲斐あって、講師の方の対応は、回を重ねる毎に良くなり、成果はあったと思うのだが、一番印象的であったのは、私自身についてであった。
数名の方の対応の相手をしたあとに、ぐったり疲れてしまったのである。
講師役で電話をしてきた方の中には、汗をかいている方もおられたので、かなり疲れたのだろうが、私の方もこれほど疲れるとは、始めるまで想定していなかった。
やはり、全神経を使って聴きながら考える、というのは、かなり疲れるものなのだな、というのを再認識した。
以前、電話などによるパーソナルコーチングをしていたときにも同じようなことがあったのを思い出した。
普段から傾聴の姿勢があるか、というとそんなことはないのだが、意識すればそういう態勢をあまり負担に思わずに取れるつもりではいたのだが、本当に「集中して聴く」というのはやはり気力と体力を使うものなのだ。
きっと聴くことのスキルが、自分が思っているほどなかったのであろう。
普段から傾聴の姿勢が取れるようにもなりたいし、もっとスキルとして「聴くこと」を鍛えなければならないようである。
私の場合、聴くスキルに関しては、NLPで言う、意識的な無能、の段階なのであろう。
その上に、意識的な有能、無意識的な有能、という段階がある。
逆に下には、知らないことを意味する、無意識的な無能、しかない。
まずは、意識的に傾聴が継続的にできるようにすること、それから、それが習慣になること。
ここまでいって、初めてちゃんとしたスキルになるのだ。
油断はしてはいけない。