Archive for 2017年4月6日

Takanori

カタバミ戦記 その弐

カタバミとの戦いも新しいフェーズを迎えたようである。

掃討戦である。

芝が駆逐されてしまっているような主戦場での戦いはほぼ終わった。
私の勝利である。
「完全駆除は難しい」カタバミとはいえ、所詮は草である。スキルを身につけ、本気になった私の敵ではない。

まだ散発的な抵抗はあるが、それは見つけ次第たたけばよい。
多くの場合、大地のエネルギーを吸い上げる根を残したことが抵抗を許した原因であり、見晴らしのよい主戦場での抵抗は、高確率で長い根の発見につながるので逆に好都合である。

だが、掃討戦はむずかしい。

敵は、茂っている芝の中に姿を潜めているのだ。
ゲリラである。
俯瞰的に見てもなかなか見つかるものではない。

どうするか。

地道に探すしかない。
地べたに這いつくばるようにして、芝の根をかき分け、カタバミの葉、カタバミのほふく茎を探し出すのだ。

近づいてよく見ると、今まで気にならなかったような、緑のカタバミの葉や、他の雑草もよく見えるようになる。
それらを適宜抜きつつ、縦横無尽に這った芝をかき分け、芝に隠れるゲリラとなったカタバミを探すのだ。
芋虫と遭遇する恐怖におびえつつ、カタバミの姿を求め、芝をかき分ける。

「草の根分けても探し出す」という言い方がある。
この言葉は、きっと芝の中でカタバミと戦ったことがある人が考えたに違いない。
見つけてからもやっかいである。

敵の最大の武器であるほふく茎をたぐろうとしても、味方であるはずの芝に阻まれてしまうのだ。

まわりの芝ごと抜き去ってもよいのならば話は簡単なのだが、それでは本来の目的を見失ってしまっていると言わざるを得ない。
直接の目的はカタバミの殲滅なのだが、そもそも芝が浸食されてしまうから戦っているのだ。
私が芝を浸食してしまっては元も子もない。

だから、芝とカタバミを瞬時に見分けるスキルをフルに活用して芝の中からカタバミを見つけ、指先でさわれば見分けられるスキルもフルに使って、芝を避けつつカタバミのほふく茎をたぐるのだ。
そして、幸運にも長い根を発見できれば、芝のほふく茎の隙間に慎重に指を差し込みながら、カタバミの根を抜き去る。

芝とカタバミが錯綜するところでは、ほふく系を見失い根までたどり着けないことも多い。
間違って、芝を抜いてしまうことも増えてくる。
芝にすれば、流れ弾にあたったようなものだろう。

だが、芝もきっと分かってくれるに違いない。

私が苦労をして芝のために戦っていることを。
将来の芝の繁栄のために、戦い続けていることを。

歴史的に見ても、勝ちきることは不可能なのが掃討戦である。
ある程度戦ったら、あとは警備活動に委ねるしかないのだろう。

その日まで、あと少しがんばろう。

Takanori

闘い

私は争いごとは好きではない。
もちろん、負けるよりは勝ちたいという気持ちはあるが、なんかの競技会に出て誰かと競う、というのは苦手である。

だが男には戦わなければならないときがある。
今がその時だ。

相手はカタバミ。
https://ja.wikipedia.org/wiki/カタバミ

別のページには「「カタバミ」は、良く見かける多年草の雑草で、成長が早く、繁殖力も強い雑草です。
除草剤が散布できない場合は、完全駆除は難しい雑草です。」と書いてある。
http://shibafu.sakuraweb.com/blog/1585.html

実際にうちの猫の額ほどもない庭でもたいへんな勢いで繁殖し、芝の一部を枯らしてしまった。

このまま放っておいては、うちの芝はカタバミ、それも緑でない「アカカタバミ」に浸食され、芝でなくなるだけではなく、緑でさえなくなってしまう。

このようにして、アカカタバミに売られたケンカを買うしかない状況に追い込まれ、やむなくカタバミと戦うことになった。

だが、敵は「完全駆除は難しい」相手である。
闘いは、案の定、苦戦した。

実は昨年からカタバミの浸食に悩まされており、最初はよく調べることもなく表面の葉をむしっていたのだが、まったく効果がない。

あたりまえである。
敵はほふく茎で生息エリアを広げていくのだ。

葉っぱをちぎられてもほふく茎から芽を出せるので、あっという間に再生してしまう。
再生どころか、芝生を浸食する面積もどんどん増えていく。

かくして、昨年は抵抗らしい抵抗もできずに、一方的に負けてしまった。
今年に入ってから、昨年の惨敗の記憶と共に再び戦いを挑んだ。
まずはきちんとした調査である。
「敵を知り己を知れば百戦危うからず」というではないか。

そこで分かったのは、カタバミはほふく茎(匍匐茎、地面を這って伸びる)で増えるということだ。
ならば、そのほふく茎を取り去らなければならない。

かくして、芝生の貼っている地面をかきわけ、その中からカタバミのほふく茎を探し出す、という想像以上に地味な戦い方の作戦となった。
発見したほふく茎をちぎれないようにたぐって取り去っていくのだ。

すると、あるとき、ほふく茎が長い根につながっているのを発見した。

掘り起こしてみると、前述のように、地表のか弱き様子から想像できないような太く長い根があったのだ。
敵のエネルギーの源はこの大地の全てを吸い上げようかという根にあるに違いない。

「ハートのかわいい葉っぱね」とか「綺麗な小さな黄色い花が咲いたよ」なんて言っている場合ではないのだ。
敵はかわいさで油断させ、裏では大地のエネルギーを吸い上げるために、こんな太い根を地中深くに伸ばしていたのだ。
腹黒いとは思うが、敵ながらあっぱれな作戦である。

この発見をもって作戦が変更された。

カタバミの葉があるところのまわりをさぐり、芝が張り巡らされてる隙間からほふく茎を探し出し、それをたぐりながら長い根を探し出し、掘り出す、という、複雑きわまりない作戦へと変更せざるを得なかったのだ。

最初の問題は、ほふく茎を芝の中から探すことだ。
ただ見ているだけでは、芝に隠れて見えないのだ。

そこで、技を編み出した。

手で地面をこするのだ。

すると、枯れた芝などが取り除かれ、必要最低限の視界が確保される。
その視界の中で、芝とほふく茎を見分けて、ちぎれないように細心の注意をもってほふく茎をたぐるのだ。

運がよければ、そのまま敵のエネルギー源の太く長い根にたどり着く。
たどり着いたら、芝を避けながら、地面深くに潜り込んでいる根を、途中で折らないように掘り出し引き抜く。

だが、いつも根までたどり着けるわけではない。

芝と絡み合ったほふく茎をたぐるのは想像以上にハードな作業なのだ。
見失ったり、芝に絡んでいるところで切れたり、ほふく茎じたいも途中で根を出して地面にくっついているのでそこで切れたりする。

このような地味にして複雑な作戦を繰り返し実施した。

一つの根を掘り返しても、ふと見るとすぐ脇にまた別のほふく茎があって、ため息をつくことも多い。
作戦に熱中して、ふと気が付くと腰が痛くて立ち上がれなくなっており、あえなく作戦中断ということも多々あった。

だが、ここ数日、地道な作戦を続けた成果が現れてきた。

まず、スキルが身についた。

生い茂る芝の中にあるカタバミのほふく茎を、ほぼ一瞬で見分けられるようになった。

それだけではない。

指先でつまんだ感覚で、芝なのか、カタバミのほふく茎なのかが分かるようになった。
その指先の感覚を頼りにほふく茎をたどり、根までたどり着ける比率が高くなった。

このスキルを武器にカタバミと戦い続けたところ、ほぼほぼ制圧できたようである。

指先は、度重なる戦いの傷跡が残りがさがさになっている。
だが、そんなのは小さなことである。

大切なのは「完全駆除は難しい」といわれたカタバミに売られたケンカを買い、勝利できそうだということだ。

まだまだ完全制圧できたとは言えない。

ふとバトルフィールドに降りて見下ろすと、そこにはカタバミの小さな葉があったりする。

今でも、目をつむるとカタバミのほふく茎がまぶたの裏に浮かぶ。
だが、この戦いもあと少しだ。
私の勝利は近い。

ほぼ制圧できた状態で、化学兵器の「芝の除草剤」の導入も行った。
「完全駆除が難しい」敵を相手に、油断は許されないのだ。

勝敗の結果は、この夏に出るだろう。

芝が勢力を盛り返せば私の勝ち。

一部でもカタバミエリアを確保されたら私の負けである。