Archive for 2014年3月31日

Takanori

オンリーワンではなく

講師育成研修で3分間スピーチを実施した。

なぜか講師である私も参加することになり、3分間のスピーチをさせていただいた。
実施方法は、漢字が一文字書かれた紙を引き、その漢字に関係した話をする、というものである。

「唯」

私が引いた漢字である。
私は「唯」を「Only」の意味でとらえて話をした。

今日のブログは、この3分間スピーチの時に考えた内容が元になっている。

私は、私のような「IT技術系の研修をグループワークだけで行うような講師」はあまり知らない。
いるのかもしれないが、少数派であることは間違いないだろう。

講師育成研修では、ある講師候補の方が以下のように言われた。
「Java(コンピュータのプログラムを作成する言語)の講師育成研修なのに、長谷川さんにJavaを教えてもらっていない。」
だが、問題なく技術も学び、講師として4月に現場に立つことになっている。

ひょっとしたら、コーチングを理解し、スキルコーチングの手法を取り入れて、さまざまな技術講習やヒューマンスキル研修に取り組んでいるような講師は、私しかいないかもしれない、とも思っている。

いわゆる「オンリーワン」である。
( SMAPの歌のようであるが、ナンバーワンでは残念ながらない。 )
オンリーワンも悪くない響きである。

しかし、私はオンリーワンではいたくない。
ナンバーワンになりたいというわけでもなく、多くの教育に携わる人達が、メンタルコーチングやスキルコーチングの知識と技術を学び、課題を設計してグループワークにより人を育てるようになってもらいたいと思っているのだ。
要は、他の人も私と同じようなことができるようになってもらいたいのだ。

私だけができる、というのはビジネスとして、営業的にはとてもよいことなのだろうが、私が目指すのは私だけが儲かること、ではない。

「育てる文化が社会に広く根付くこと」

これが私の目指しているところである。

講師は「人の幸せを自分の幸せと感じることができる人」である、というのが私の定義である。
人を育てる文化を広めることが、幸せな人を増やすことにつながると考えているから、それを目指している。

オンリーワンではなく、私の持っている知識や経験を、より多くの人に伝え、学ぶチャンスを持っていただき、同じような目的を持って、育てる文化の普及を目指してもらえるような人をたくさん育てていきたい。
それらの人の中で仕事をしていけるならば、これ以上の幸せはないだろう。

今の私はオンリーワン(ロンリーワン?)かもしれない。
でも、全体がナンバーワンになれるような仲間をたくさんつくっていきたい。

今のような活動を続けていけば、私はオンリーワンではなくなろうだろう。
そして、その結果として、育てる文化と学びの社会ができることを心から願っている。

Takanori

いくつかのグループワーク

前回のブログに、グループワーク中心の研修について書いた。

今回は、いくつかグループワークの例をあげてみたい。

ただ、注意していただきたいのは、グループワークは「ただやってください」で成立するものではないことである。
目的を認識した上で、正しいインストラクションや準備がなければうまくいかない。

「ある程度複雑で効果の高い課題」ほど、そういう傾向がある。
実施にあたっては十分注意をしていただきたい。

「学生と社会人」
おそらく多くの新入社員研修で実施されている課題だろう。
このグループワークの実施にあたっては、講師側のコメント力が成果を左右する。
何を訴えるのか、何を感じてもらいたいのかを、講師が明確に持っていることが大切である。

「コンピュータは何をしている?」
IT系企業の技術系新入社員研修や、同様の研修の講師の育成の最初に使う課題である。
あたりまえのように知っているはずのものをきちんと説明できない、という経験をすることによって、学ぶ事に対するモチベーションを一気に作り上げることができる便利な課題である。
ただ、講師も説明できないようであると、なんのために実施しているのか分からなくなるので注意してほしい。

「CPUごっこ」
これもIT系企業の技術系新入社員研修の定番となっている。
CPU(コンピュータの中心的な部品)の動きを人がまねをして再現する、というものであるが、さまざまな要素が含まれて非常に効果が高い。
そのぶん、インストラクションが難しいので、準備と練習が欠かせないだろう。

「最低最悪の○○を考える」
NHKで放送していた「スタンフォード白熱教室」でやっていたグループワークであるが、ブレインストーミングの可能性に触れてもらうためには素晴らしい課題となっているので、使わせてもらっている。
○○の部分は、オリジナルは「家族旅行」であるが、状況に合わせて適宜変更している。

「ある言葉から連想することばを10書き出して、グループで比べる」
例えば「光」という言葉を書き、それから想像する言葉を10個ほど書いてもらう。
その後グループでいくつ同じ言葉を書いたかを付き合わせてもらうと、言葉に対して持っているイメージの違いを浮き彫りにすることができる。
コミュニケーションに関する内容で、相手のことを考えなければならない、という意識をつくるのに役立つ。

「設計書を書いて、他のグループでコーディングする」
IT系企業の新人研修でよく使うが、ドキュメントで会話をする練習である。
何度も繰り返してフィードバックをもらいながら改善をしていくことで、めざましいドキュメントの作成スキルの向上が見られる。
振り返り作業の徹底と繰り返しが成長の量を決める。
なので、プロジェクト演習を一度だけ行う、というのでは、繰り返しが圧倒的に足りないので、多くの成長は望めない。

「文章の構造を図で表す」
新聞の社説などの文章の構造を図で表現してみる。
いくつかの文章(分かりやすいもの、分かりづらいもの)で同様の作業をしてみると、文章の構造について意識が出来るようになる。
適切な文章の選択が鍵である。

「質問を考える」
条件を設定し、質問をできるだけたくさん考えてもらう。
発表し、有効な質問を選んだり、個数を競ったりするのもよいだろう。
コーチングの「質問をするスキルを鍛える」の導入として取り入れている。

私がよく使っているグループワークの中から一部をあげてみた。

最初にグループワークありき、ではない。
学んでもらいたいことがあれば、それに対してグループワークを考えることができる。

よく「とりあえずグループワークでもしておけ」的な考え方に出会うが、それは目的が違う。
目的はあくまでも「学んでもらうこと」であり、「どう学んでもらうか」についての考察からグループワークが生まれる。
学んでもらいたいことについての講師側の意識がなければ、グループワークは機能しない。

私自身が実施しない場合でも、グループワークの設計とインストラクション指導はできることがある。
もし、研修で学ばせたいことがあるならば、ご相談いただきたい。

Takanori

グループワーク中心の研修

私はほぼ全ての研修をグループワークで構成している。

毎年の新人研修でも多くの時間がグループでの作業時間であるし、演習問題についても例外ではない。
先日までの講師育成研修でもそうであるし、コーチングやコミュニケーション研修ではほぼ全てがグループワークである。

ではなぜグループワークなのか。

「ただ、予想外だったのはグループワーク中心の研修スタイルです。最初は戸惑いましたが、その効果を実感するにつれ、今では、グループワークのとりこになっています。」

私の研修に参加していただいた方の感想である。

なぜとりこになってしまうのかと言えば、次の点に集約される。

・成果が出る

・楽しい

成果が出て楽しい研修、となればとりこになるのもうなずけるだろう。

またグループワークの適用範囲はとても広い。

例えば、知識を伝えるのならば座学、と思っている人は多いだろうが、1時間の座学を、受講者を眠らさずに必要なことを伝えて実施する、というのはかなり難しい。
受講者がよっぽど興味を持っていることなら可能な場合もあるが、普通は難しい。
昼飯後の2時から3時を「悪魔の時間」と呼ぶ講師がいるように、退屈な人はたいてい眠る。

眠らさないように他の「遊び」を入れる、などの工夫もあるが、それでは本来の学習にはあてられていないので、意味がない。たいていの場合「遊び」の間は活き活きしていても、座学に戻ったとたん眠たくなる。

だが、そんな知識伝達を目的とした場合でも、きちんとした準備さえできれば、グループワークが使える。
それもかなり効果的に、である。

例えば、確認テストのようなものと、必要な知識の書かれたテキストを用意する。
その上で、問題の解説を受講者にゆだね、テストの結果が出るように解説させる、という方法がある。

解説すべき問題は、個人ごとに割り当ててその理解をグループでサポートすること。
全体のテストで誰か一人でも想定した点数に達しない場合には、目標を達成できていないとすること。
解説の後に、グループでの学びの時間を用意すること。

などとしておけば、講師が解説しなくとも、発生する質問に答えていれば、自然と目的は達成できるだろう。

もちろん、効果的な意識付けやグループでの活動の練習は必要である。

だが、それさえできれば、座学で伝えられる以上のことをグループワークで学んでもらえる。
それでは「浅い」と思われる部分については、学習後のコメントに含めればよい。
自ら学んだ知識が元になっているので、興味を持って聞いてもらえる。

それ以外にも、チームワークを学ばせるためのもの、意識を変えさせるためのもの、目標を設定するためのもの、など、およそグループワーク化できないものはない。

先日整理してみたら、200種類に迫るオリジナルグループワークをこれまで実施していた。
実際には、講師育成、コーチングなどを実施しているのでさらに増えている。

同じタイトル(例えばコーチング)であっても、受講者、クライアント、習熟度などが違えば学んでもらいたいことも変わる。
そうしたら、学んでもらうためのグループワークも当然変わってくる。
同じ課題をそのまま使える場合も多いが、そうでない場合も多い。
適切なものがない場合には、よりよいと思われるグループワークを設計し、実施しているのだが、その積み重ねが数多くのグループワークになっている。

正直言って、グループワークを考えることが「しんどい」こともあるし「アイデアが出てこない」こともある。
ネット上で使えそうなアイデアを探すこともあるし、個人的には納得できないまま、「マッチしていないところがある」グループワークをしてしまうこともある。

だが、クライアントは「人が成長すること」「気づきを得て変わること」を期待し、その成果に対して報酬をくれている。
決して「研修を実施すること」に対して報酬が出ているわけではない、と私は考えている。

だから、プロとして、より成果のあがるグループワークを考えて実施し続けることが、私の仕事である。

Takanori

研修に求めること

研修講師をやっていると、研修の効果について考える。

研修で期待される効果には次のような段階があるのではないかと考える。

1:ただ知る。
例えば「コーチングという技術が存在する」というレベルの知識を得るのが該当する。
技法についての知識を得る、というのも含む。
このレベルでは、極端な話、本を読むのと大差ない。

2:学びたいと思う。
知った結果、素晴らしいと思い、自分で学びたいと考える。

3:体験により理解する。
「腑に落ちる」という経験をすることにより、「知る」とは次元の違う理解を得る。

4:具体的な行動設定をする。
学ぶために具体的な行動目標を設定し、行動を始める。

5:できるようになる
本当に理解し、スキルとしてできるようになる。

今の私の講師スキルでは、3までは問題なくできることが多い。
4も可能である。

だが、5をクリアするにはどうしても訓練が必要である。
そして訓練には時間が必要である。

IT系企業の新入社員研修のような集中研修は多くの場合2ヶ月から3ヶ月程度である。
大手企業では6ヶ月の新人研修などがある。
こような集中研修を2~3ヶ月以上続けられる研修であれば、多くの5の「できるようになる」を期待できるし実績もある。

だが、それ以外の研修は、1日、2日、3日などというものが多い。

私が研修で目指すところは5の「できるようになる」である。
だが、実際問題としては、訓練の期間を確保するのはむずかしい。
そうなると、新入社員以外の研修において、5の「できるようになる」は実現不可能なのだろうか。

そんなことはない。

鍵は「毎日集合研修を行う必要があるわけではない」である。
訓練が継続できさえすれば研修の役割を果たすことができる。

最初に集合研修を数日間行って、4の「具体的な行動設定をする」まで達する。
その後は、2週間に一度程度の集合研修を3~6ヶ月間続ける事で効果的な訓練ができる。
その結果として5の「できるようになる」が実現できるだろう。

このような研修を実施するにあっては、実施する講師として、マネジメントの難しさや実施メニューの設定のたいへんさなど、いろいろな困難がある。

だが「できるようになる」研修のためには、避けて通ることはできないことなのだ。

だから、やるしかない。

研修講師として必要なのは、教える内容を誰よりもよく知っていること、ではなく、学んでもらいたいという強い気持ちと、それに対する覚悟なのだろう。

Takanori

講師育成研修 2014

1月8日から取り組んできた新入社員研修に携わる講師育成研修がようやく完了した。

最終的に2教室、35人の講師候補の方と共に学ばせていただいた。
学ばせていただいた、とは言っても私は講師としての参加である。

研修は一言で言えば、とても楽しいものであった。
多くの講師候補の方も楽しんで参加してくれていたように思う。

研修にはいつも全力で取り組んでいるので、今回も、これまで培った講師スキルをできるだけ伝えたいと思って取り組んだ。

私の場合、フリーのプログラマとして仕事をしていたときの経験、ラグビースクールでのコーチングの経験、講師としての10年間の経験があり、それに加えて、パーソナルコーチングなどの経験や趣味で取り組んでいたさまざまなことが一体となって講師スキルとして成立している。

これらの中から、私自身が講師スキルとして体系化している内容から優先度をつけてお伝えすることを考えたのだが、量的にも多いことと、スキルとして訓練する時間が少ないことから、どうしても「全て」をお伝えするわけにはいかない。

そこで、今回の講師育成では次のような形で講師スキルをお伝えした。

・受講者のために、が全ての基本であること
・教えるのではなく、学んでもらわなければならないこと
・教えるのではなく、学ぶ場を創るのが仕事であること
・伝えるためには、自分の言葉で話すこと
・伝えるためには、聴かなければならないこと
・伝えるためには、伝え方を考えなければならないこと
・伝えるためには、徹底的に準備をすること

以前にも講師育成に携わったことがあるのだが、その時には時間が短かったこともあり、「考え方」を伝えるのにこだわってしまい、今から考えると十分な成果が出せていなかった。
今回は、その反省に基づき、とにかく現場で実施可能なスキルの形で伝えることを心がけた。

講師育成研修としての成果は、新入社員研修が終了したときの受講生評価に現れることだろう。
それがよい結果になるのか、そうではないのか、今の私には分からない。

だから、今はただ、講師として、サポートとして現場に携わる受講してくれた方々が、よりよい経験ができることを願って止まない。
そのよい経験が、きっと結果につながっていくに違いない。
また、残念ながら新入社員研修に直接携わることができなかった方にも、人生の中で小さくてもなにかよい変化があることを祈っている。

終了時に、担当させていただいた方々から、心のこもった寄せ書きと花束をいただいた。
研修期間中にいただいた毎日のコミュニケーションシート、終了時にいただいた講師宛の手紙、そして、一緒に過ごした期間のさまざまな体験と共に、私の宝物として大切にしていきたい。

本当にありがとうございました。