Archive for 2013年4月6日

Takanori

廃用萎縮

廃用萎縮、という言葉がある。

医学的には廃用症候群といい、動かさない筋肉などが萎縮し機能不全を引き起こすことなどを指すらしい。
介護分野では、寝たきりの方の骨や筋肉が衰えることを廃用萎縮と呼ぶそうである。

廃用萎縮は健康な人間にもおきる。
宇宙飛行士の骨や筋肉が弱るのは有名な話である。

生物は使わない機能はなくしていこうとするらしい。
それ自体は、栄養などの資源やエネルギーの節約という意味ではとても納得できることであり、当たり前のことなのだろう。

コーチや講師として人の成長に関わる仕事をしていると、廃用萎縮というのは筋肉や骨といった目に見えるものだけに起こるわけではない、と感じる。

体を動かすための神経系の調整能力などもそうであり、考える力、などという能力にも廃用萎縮があると思う。

研修において、考えさせる力を身につけさせる、などと言ったりはするが、実際のところ、考える力などは、すべての人が持っているものである。
学校教育などで、考えることではなく覚えることを求め続けられているために、萎縮し、忘れてしまっているだけなのだ。

私が行っているのは、その萎縮している機能に気づかせて活性化させているにすぎない。
人間の持っている力はもともと素晴らしいのだ。
私の仕事の第一は、すでに存在するものに気づかせ、使えるようにするリハビリのようなものらしい。

廃用萎縮してもまったくなくなってしまうわけではない。
廃用ではなく必要になればまた復活するし、より重要になれば、さらに成長もする。

講師は教える仕事ではない、といつも言っているが、実は育てる仕事でさえないかもしれない。
根っこはもともと人が持っている力なのだ。
それが必要になれば顕在化し、重要ならば人は勝手に成長させていく。

医者にも治すのは患者の力、という言い方をする人がいる。
おそらく講師も同じである。

気づかせ、重要と感じさせること。
その上で方向性を与えることができれば、他のことは「ささいなこと」なのだろう。

Takanori

対比

先日、実施した技術研修において、面白いものを見た。

技術研修なので、普通は最小限の座学が入ってしまう。
一般的な研修と比べればかなり少ないのだが、座学は座学である。

他の時間、グループワークや実習で進めているせいもあるのだろうが、座学が始まった途端、受講生の方のモチベーションが下がり、眠そうな方が出てきた。

そのまま座学を続けることもできたのだが、思い切って座学をやめて、範囲を指定して調べて学び、全体に対して説明する、というグループワークに切り替えた。

その範囲に対する補助資料を作成しておいたからできたことではあるが、そのときの受講生の様子には、少々驚いた。

先ほどまで眠そうにしていた方が、生き生きとグループワークに参加しているのである。
発表後には、私から不足分の説明をさせてもらったのだが、そこでの集中は切れなかった。

座学のときの様子と、グループワークに入ってからの対比が、あまりにも鮮やかだった。

それを見て考えてしまった。

技術研修には座学が必要である、というのさえ、私の思い込みではなかったのか、と。

もっとなくてもいいものなのではないか、と。

思い込みの罠からは、簡単には逃げられないし、実際には永遠に無理なのであろう。

だからこそ、観察し、考え、挑戦する、という習慣を崩してはならない。

そんなことに、改めて気づかせてくれてた研修であった

Takanori

受講者の数と研修の形

今まで、研修を行ってきた中で、人数がはっきりしている研修では、受講生の最少人数は1人、最大人数は54人である。
その間は、2人から42人までさまざまである。
正確な数字が分からないが、短時間のセミナーのような形式では60人を越えた場合もある。

人数が異なると、当然研修の実施方法もちがってくる。

人数が少なければ、一人一人と会話をしながら進めるような感じになるし、多ければ全体に対して指示を出しながら進めることになる。

私の研修では、グループワークを主体とするために、ある程度人数が多いほうがやりやすく、15人から25人程度が一番「手頃」な感じがする。
このぐらいの人数であれば、一人一人に目が届き、グループワークによる学習効率も高くできる。

人数が2人とかでは、グループワークの効果が少なくなるし、1人ではグループワークにもならない。
1人や2人というのは、まぁ、特殊な状況ではあるのだが、せめて4人程度はいないと、グループワークの効果はどうしても薄くなってしまう。

また、グループごとの競争を発生させるために複数グループがあったほうがよいのだが、そのためには、最低でも8人は欲しいところである。

とはいえ、受講生の人数は選べないことがほとんどであるから、その人数に対応するしかない。

私の行っている対応を簡単に書いてみよう。

まず、少ないときの対応である。
・受講生同士を早く仲良くさせる。
・受講生に寄り添ったカリキュラムにする。
・対話式(会話に疑問文を多く混ぜて相手から発言を引き出す)ことを多くする。
・話に個人名を多く含める。

逆に、多いときの対応は次のようなものになる。
・グループワークのスキル・雰囲気を早く高める。
・グループ毎の競争を多くする。
・発表などの機会を多くし、お互いのつながりを維持するとともに、講師が状態を把握できるようにする。

人数が少なければ、1対1の関係を維持しやすくなるが、グループワークの効果が薄くなる。
そのため、グループワークに頼りすぎず、一人一人に寄り添ったカリキュラムと進め方をすることが必要になる。
期間が長ければ、受講生を理解する時間がとれるので、より大人数でも対応が可能になる。

逆に人数が多いときには、逆になる。
コーチングの観点からは1対1の関係を人数分なのであるが、人数が多いときには、1対1の関係を全て維持することはなかなか難しい。心がけはするが、どうしても密度は薄くなる。
そのため、グループワークによる効果を高く維持しつつ、より自主的に学べる環境を作ることになる。
期間が短いときにも、受講生を理解する時間を取りづらいために、同じような傾向が出てくる。

一般的な新人研修の期間なら、15人から25人程度であれば、1対1の関係を維持しつつ、グループワークの効果も高めやすいので、もっとも研修を行いやすいのだろう。

今回は、普段行っていることを自分自身で振り返ってみて、気付くことが多かった。
言葉にできたことで、今後、自分自身でもより意識することができるし、他の方にも伝えられるようになる。
やはり、アウトプットは大切である。