Archive for 2013年3月20日

Takanori

研修講師にあると良い力

研修の講師にはさまざまな力があるとよい。
思いつくまま挙げてみたい。

○ 専門性

伝えることに対する専門的な知識、経験が必要なのは言うまでもない。
これがあることで伝える内容も明確になる。
もっとも、本質が分かっていれば、受講者の中に気づきを生むことで研修の目的を達することもできる。
細部を全部知るよりは、本質を分かっていることの方がずっと重要であろう。

○ 話すスキル

講師がまず行うことは「話す」ことである。
自らの考えることを自らの言葉で効果的に伝えるスキルがあるとよい。
言葉の選び方、発声、間の取り方、抑揚、ボディアクションなどが大切だろう。
聞く気にさせる方法を知っていれば、さらに効果的である。

○ 伝えるスキル

話すスキルと同じような感じであるが、受講生に理解してもらえること、納得してもらえることを考えると、ただ話すだけでなく、受講生の状態、理解してもらいたい内容や課題を考えて、適切な手段を選べるとよいだろう。
ワークショップの課題、効果的な説明方法など、伝えるための手段が多ければ、それだけ伝わりやすくなる。

○ 聴く、見る、感じるスキル

1対1のコーチングに比べると、多くの受講生を前にする講師は、1人に対して傾聴する、というシーンは少なくなる。
だが、それぞれの気持ちを言葉以外から聴く、感じることはとても大切な事である。
多対1では、普通の会話はなりたたないので、言葉にならない非言語のコミュニケーションがより大切になる。
そういう意味では、聴く、というよりも見る、感じるなどの観察が重要になる。
動きや表情などから、受講生の様子を感じ、言葉にならない言葉を聴くことができると、場のコントロールがしやすくなるだろう。

○ 受講生を思う心

研修の目的は、講師が研修を行うことではなく、受講生が研修により成長することである。
余裕がないとついつい説明をすることに汲々としてしまい、無事に説明を終えられるとほっとしてしまうのであるが、それは講師の自己満足にしかならない。
どのような場合にも受講生のことを思い、受講生の成長があったかどうかを確認できるようにしたい。

○ 受講者の心理を考えるスキル

コーチングの考え方の基本は、相手の気持ちを動かしモチベーションを高め、自主的な行動と工夫を引き出すことである。
ここまで挙げてきた項目は、コーチングというトータルスキルにすべて含まれるものであるが、その中でももっとも大切なものは、受講者の心理を考えること、ではないかと思う。
なぜ、どうして、を自分の中でも繰り返し、受講生を観察し、受講生を知る。
そうすれば、自然と歩むべき道が見えるようになるだろう。

これらが全部、ある一定レベル以上であることが望ましいのだろうが、かなり難しそうである。
このように書いている私自身、足りないことがたくさんある。

だから、これらは私にとって目標である。

全部一度にマスターを目指すではなく、考え続け、一歩一歩スキルを磨きたい。

よりよく聴き、見、感じ、話し、伝え、受講生のことを思い続け、成長のための工夫を欠かさない。

たゆまず心がけ、歩き続けること。

それを続けることが、私自身も成長させてくれることだろう。

さまざまな研修を提供している会社の方から、技術研修にコーチングを組み合わせたのは初めて見た、と先日も言われた。
私と同じようなことをしている人はいないだろう、とは言わないが、どうやら、私はかなり珍しいことをしているらしい。

最近では、見たことがない人からは分かってもらいづらいことも、当たり前と思うようになった。
体験してくれた人からは、良かった、と言ってもらえることも多くなった。

なら、パイオニアになってやろう、と最近思うようになった。
私が信じているように、本当に良いものならば、後から続いてくれる人も増えるであろう。

そして、どうせパイオニアになるなら、よりよいパイオニアになりたい。
パイオニアが失敗したら、私の信じる良いものが潰えてしまうかもしれない。
それはあってはならない。

困難も多いだろうが、知ってくれる人、良いと言ってくれる人も徐々に増えてきた。
そのような人たちに助けられながら、私は歩いて行くことになるのだろう。
私のできることは、できることを精一杯行い、繰り返し、よりよい研修講師としてスキルを磨き、体系化していくことだけである。

「倒れるなら、前のめりに倒れたい。」
坂本龍馬がこのようなことを言ったそうであるが、私もそうありたい。

Takanori

聴くことはしんどい

先日、講師講習の中の電話対応の練習をする機会があり、私は電話を受ける企業の人事担当者という役割をさせていただいた。

役割としては、人事担当者に電話をする講師から電話を受け、それに対して応対するという簡単なものなのだが、人事担当者が受けた電話にどのような対応をするのか、というのを、比較的意地悪に再現するために、非常に集中して聴くことになった。

言葉一つ一つに注目し、つっこむ余地があればつっこみ、自信なさそうな様子であれば、それに対応して声にも心配そうな様子やいらだちをにじませる。
さらに、話を聴きながら、相手の想定していなさそうな質問をしてみる、などリアルに意地悪に対応することにつとめた。

練習の甲斐あって、講師の方の対応は、回を重ねる毎に良くなり、成果はあったと思うのだが、一番印象的であったのは、私自身についてであった。

数名の方の対応の相手をしたあとに、ぐったり疲れてしまったのである。

講師役で電話をしてきた方の中には、汗をかいている方もおられたので、かなり疲れたのだろうが、私の方もこれほど疲れるとは、始めるまで想定していなかった。

やはり、全神経を使って聴きながら考える、というのは、かなり疲れるものなのだな、というのを再認識した。

以前、電話などによるパーソナルコーチングをしていたときにも同じようなことがあったのを思い出した。

普段から傾聴の姿勢があるか、というとそんなことはないのだが、意識すればそういう態勢をあまり負担に思わずに取れるつもりではいたのだが、本当に「集中して聴く」というのはやはり気力と体力を使うものなのだ。
きっと聴くことのスキルが、自分が思っているほどなかったのであろう。

普段から傾聴の姿勢が取れるようにもなりたいし、もっとスキルとして「聴くこと」を鍛えなければならないようである。

私の場合、聴くスキルに関しては、NLPで言う、意識的な無能、の段階なのであろう。
その上に、意識的な有能、無意識的な有能、という段階がある。
逆に下には、知らないことを意味する、無意識的な無能、しかない。

まずは、意識的に傾聴が継続的にできるようにすること、それから、それが習慣になること。

ここまでいって、初めてちゃんとしたスキルになるのだ。

油断はしてはいけない。