Archive for 2013年3月13日

Takanori

コーチングできてますか?

企業などでコーチングなどの必要性が言われるようになってから久しい。

「私はコーチングで部下を動かしている」と言う人も増えているだろう。

だが、本当にそうか。

教育に関心のある人の話や、コーチング研修を受講してくれた方の話を聞くと、なかなか実際にはできていないことが多いような気がする。

いくつかチェックポイントをあげてみよう。

もし「教えてやろう」「育ててやろう」という意識がある場合には、それは恐らくコーチングではない。

もし、部下が何を考えているか分からない場合には、それも恐らくコーチングではない。

もし、部下の提案を却下して、指導のつもりで自分の指示を実行させている場合も、コーチングになっていない場合が多い。

これらのチェックポイントで引っかかる場合には、コーチングはできていないと思われる。

コーチングでは、相手の気持ちを考えることが必須である。

コーチングでは、相手のモチベーションを引き出すことで人を動かす。

コーチングでは、相手の頭を働かせて、答えを見つけさせる。

これらは、コーチング研修などで「手法」として紹介されていることばかりである。
言葉を理解するのは簡単なことだ。

だが、実際に行うのは、なかなかにむずかしい。

理由は簡単である。

意識して自分自身が変わらなければ、相手に視点を移すことはできないからだ。
自分の意識の中に「育ててやる」「教えてやる」という気持ちが残っていては、それはコーチングにはならない。
自分自身が変わった記憶がなければ、コーチングができていない可能性が大である。

相手に寄り添い、相手の気持ちを考え、感じ、相手の気持ちの中に変化を呼び起こすことがコーチングなのだ。

できていれば、相手の変化を感じられる。
それが感じられていなければ、コーチングはできていない。

コーチングで人を指導している、という人は、一度振り返ってみてはいかがだろうか。

Takanori

グループワークにおける講師の意図

本日も、講師研修の中で、ゲリラ的にワークショップの進め方、考え方について話をさせていただいた。

なぜか、その講師研修では、他の外部の講師の方から「ワークショップは息抜き」「アイスブレークは遊び」のような扱われ方をしていた。
ワークショップやアイスブレークの威力を知っている講師として、そのような扱われ方は不本意である。

これらは、決して息抜きや遊びではない。
ましてや「眠気覚まし」に使うなど、もったいなくて涙が出る。
ワークショップを眠気覚ましとして考えるのではなくて、研修の実施方法を工夫して眠らせないようにするのが本筋であろう。

本日は、たまたま、講師仲間の方から「ワークショップについて教えてもらいたい」というリクエストをいただいたので、少し時間をお借りして、効果の上がるワークショップやアイスブレークについてお話をさせてもらった。

アイスブレークは「氷のように固まった心を溶かす」ことが目的である。

研修においては、最初の緊張段階にある受講生の心をほぐし、講師から言葉が渡せるようにすること、受講生同士を仲良くさせて場の雰囲気をよくすること、などが直接の目的になる。

だが、単に「アイスブレークとしての活動」と言われるものをやればいいわけではない。大切な事は、なんのためにそれを行うのか、どういう効果を期待するのか、という講師側の「意図」がはっきりしていることである。
そして、その「意図」を実現するために、さまざまな工夫を行わなければならない。

アイスブレークの効果を持つ活動は、例えば、日本ファシリテーション協会のホームページなどにあるが、ここにあげられているもの以外にも、いろいろ考えられるし、ちょっとした工夫により多くのバリエーションを作ることもできる。
https://www.faj.or.jp/modules/contents/index.php?content_id=27

ワークショップも同じである。

「これこれこういう効果がある」と紹介されているものでも、実際にやってみると、ワークに取り組むモチベーションが低かったり、正しい説明がなされていなかったりして、期待通りの効果を得られないことがある。
これも、講師がきちんと「意図」を持ち、最大限の効果を生むように工夫をし、言葉を選び、導入を行う必要がある。

そして、本当の学びにつなげるためには、「振り返り」ワークショップを行う必要があるだろう。
できたこと、できなかったことを振り返り、次にどうすれば良いか、という具体的なアクションを考えることが、本当の学びにつながるからだ。

ワークショップを始めて行う際には、あまり複雑なものを選ばないことをお勧めする。
複雑なものは導入も難しくなり、工夫をするにもバランスを考えなければならないことが多いからだ。

繰り返しておきたい。

ワークショップやアイスブレークは、きちんと意図を持って実施すること。
適切な導入ができるように、事前練習を必ず行うこと。
ワークショップでは、振り返りの重要性を認識すること。

これらは、グループワークにおける、最低限の心がけなのだ。

Takanori

憶えるのではなく、習うのでもなく、創りあげる。

私の研修では、講師の言葉を書き残すことはほとんど求めない。

憶えるような内容であれば、本でも読んで憶えるほうがいい。

私の研修では、説明も非常に少ない。

だから、私から習おうとしても、そこにはたいした内容がないし、答えもない。

私の研修では、グループワークが非常に多い。

その中で自分たちの答えを作り上げることが学びにつながる。

グループワークの課題は、学んでもらいたことに気づけるように構成してあるので、多くの人がこちらが期待する答え、もしくはそれに近いものを作り上げてくれる。
これが、私のまず期待するレベルの学びである。

ただ、たまに、私の想定していなかった、素晴らしい発想をしてくるグループがある。

そういうグループは、作る、のではなくて、創ったんだろうと思う。

その創られたものからは、私も多くの学びをもらうことができるし、それが本当の学びなのだろうと思う。

創られた学びを得るためには、自由な発想をする練習をし、受講生の持っている枠を、可能な限り外しておくことが重要である。

お膳立てをし、機会を作ることが、学びを創ることにつながる。

それを信じることが、待てる研修につながるのだろう。

Takanori

プロジェクターの使い方

研修においてプロジェクターはとても便利な機器である。

みんなの目を一箇所に集めることができるし、動きを見せることもできる。
事前に印刷できていない資料でも、見せることができる。
プレゼンなどでは、話の進行に合わせて動かすことで、より強いインパクトを得ることもできる。

だが、私は研修でプロジェクターを使うことはほとんどない。

プロジェクターを使うことにはデメリットもある。
特に技術研修において、受講生の手元に映すスライドと同じものがある場合には、デメリットが多くなる。

このような場合の、プロジェクターのデメリットを3つあげてみよう。

一つは、講師がそれを読んでしまいがちになること。
手元に同じものがあるのならば、受講生に直接読ませたほうがずっと効果的であり、時間も短縮できる。

次に、受講生が講師を見なくなること。
受講生が講師を見なければ、講師からも受講生を見づらくなり、受講生の様子を感じにくくなる。
部屋が暗くなることが多く、さらに受講生のことが感じられなくなる。
講師が映されているものを見ながら読んでいれば、接点もなくなってしまう。
これは双方向のコミュニケーションが必要という観点からは、致命的である。

最後に、スライドと異なる説明をしづらくなること。
スライドと同じことを読み上げて説明するだけでは、受講生が理解のために使える情報は1種類だけになる。
できれば、講師はスライドとは異なる言葉、手段で、説明したい。
そうすれば、受講生の使える情報はスライドとあわせて2つ以上になる。
もちろん、説明の言葉や手段が多いほど、受講生の理解につながりやすい。
ホワイトボードを使って説明すれば、スライドにひきづられず、必要なだけ自由に説明をすることができる。

これらが私がプロジェクターを使わない理由である。

もちろん、メリットが上回る場合には使うこともある。

大切なのは、ただ漫然と使うのではなく、メリット、デメリットを考えながら使うことであろう。