Archive for 2012年1月23日

Takanori

講師の役割

今の時代、さまざまな教育理論が存在する。

私が研修の実務や、コーチングの中で工夫してきたさまざまなことが、理論化されているのを知ったときには、若干の悔しさ(自分で見つけたのに、という)と、正しいことをしてきたんだという安心感がわいてくる。
また理論を学ぶ中で、新たな発見や発展の可能性が見えたりもする。

そんなさまざまな教育理論を見ていく中で、再確認できたことがある。

それは「講師は教えられない」ということである。

研修講師をしていて「講師は教えられない」というのは何事だ、と言われるかもしれないが、学ぶ意志がない人に何かを教える事は不可能なのだ。
逆に「学びたい」と思っている人に「学ばせない」のもまた不可能だ。
つまり、講師ができることは決まっている。

「学びたいと思わせる」

これが講師の第一の仕事である。
そして、学びたい人を助けることも、大切な役目である。

学びたいという気持ちに火をつけ、効果的なサポートができれば、言葉は悪いが勝手に学んで成長してくれるものなのだ。

今年も新人研修の準備が始まった。
また、以下のような会話ができるよう、しっかりした準備と練習をして臨もうと思う。

新人「先生、同級生が他の会社で受けている研修と、私が受けてるのは全然違うみたいです」
私 「そうか。で、どっちがいい?」
新人「こっち!」

Takanori

人間は忘れる生き物

20分後には42%、1時間後には56%、1日後には66%、一ヶ月後には79%を忘れる、という調査がある。つまり「講義」ではスキルの習得はもちろん知識の伝達もできない。

研修の中での「グループワーク」については、一年後に尋ねても「やりましたねぇ、懐かしいなぁ」という声が返ってくる。体験型の学習はそれだけ「残り」「身につく」ものなのだ。
だが、3分や10分のワークショップでは気づけること、学べることには限りがある。

よく見るのが、短時間のワークショップをやらせて、発表させて、期待した答えが講師の期待と違うと、「そうですね」と言った後に違う内容を答えとして伝えるパターンである。
ワークショップをやることに意味があるのではなく、その中で気づくことに意味があるのだが、手段と目的が違ってしまっている。

講義がメイン、考える時間が十分に取られない、考えた内容が尊重されない、こういう研修では、モチベーションの維持が難しいだろうし、意図的に失敗させてそこから学ばせるような進め方もできないだろう。

物事を学ばせるためにはきちんとした学習のためのデザインが必要である。
組織全体として何を目指すのか、目指すものを実現するためには、管理職にはどのようなスキルを持たせ、新入社員には何を伝えるのか。
もちろん、それぞれにどのような手法を使うのか、というのも大切な要素である。

自分自身の経験を元に、研修なんてやっても無駄、と思っている人もいるかもしれないが、きちんとやれば必ず効果はある。今はそれだけのさまざまな教育論的な蓄積がある時代。使わないのはもったいない。

例えば、管理職研修ではアクションラーニングの手法を取り入れ、現場の問題点を認識、分析、解決していくことが実利的な学習となり、自律的な学習につながる。
加えて、スキルコーチングの手法によるコミュニケーションスキルの訓練を組み合わせれば、相乗効果により、効率的な学習が期待できる。

私は、一つのスキル、一つの学習方法を伝えるだけではなく、問題を複数の課題に分析、分割し、それぞれについて最適な学習方法を提案したいと思っている。

お客様が教育で目指すところは最大限尊重する。それが目的だから。
だが、それをどう実現するかについては、さまざまな教育理論、実践方法の中から最適と思われるものを選び、提案していきたい。

さまざまな教育理論があり、実践で試され、効果のある学習方法がいろいろ提唱されているのに、それが現場では実施されていない事が多い。
もし研修が眠かったら、それはどこか間違っていると思って良い。
眠る受講生が悪いのではなく、眠らせる講師の問題なのだ。

組織全体で「育てる意識を持つことが大切」とよく言われる。
だが、新入社員研修でコミュニケーション、チームでの活動スキルなどを学ばせても、配属される現場にそれがないことがある。
そのために、せっかく学ばせてもつぶされてしまうことが多い。
これはもったいない。

教育費は経費であってはならない。
教育費をリターンの大きい投資とするための教育を続けて行きたい。

忘れる人間に忘れさせない。
学びたい人間を作り、スキルを身につけてもらう。

これが目指す教育である。

Takanori

自戒を込めて

傲慢になるべからず。
傲慢と見られるべからず。

人からは必ず学ぶべし。
学べたことに感謝すべし。

謙虚を美徳とし、かつ媚びることなかれ。
自信を持ち、かつおごることなかれ。

自身の源は努力である。
努力の源は夢である。

夢を持ち、努力をし、自信を持ち、謙虚でおごらず、人から多くを学び続け、感謝を忘れぬ人となれ。

Takanori

自転車に乗る

もしあなたが「自転車の乗り方を教えてもらいたい」という依頼を受けたら、どのように教えるだろうか・・・・。

ここのところ、ブログの更新もメールマガジンの発行も少し行っていなかった。この期間は多くの人に会い、自分自身について多くを考え分析し、これからの行動について考えていた。
その結果、出た結論は「私は、職人になりたい」であった。

もちろん自営業者として、営業も経営もしなければいけない。
だが、求められるから、商売になるから、といって、自分がよくないと思っているものを売ることは、私の心を売り渡すことになってしまいそうな気がする。
志、という大層な言葉を持ち出すほどではないが、私のしたいことは、人を育てる文化を企業や社会に根付かせることであり、実際に育てることである。

自転車の乗り方を教える時に「まずハンドルを握って、サドルに腰掛けてください。ペダルに足を乗せて体重をかけてペダルを回します。前に進みますからバランスをとってください。転ばないように気をつけてくださいね。ふらふらするようだったら、少し前を見てみましょう。肩にも力を入れてはだめです。でも、もしダメでも大丈夫です。時間が来るまでは後ろで支えますから。」とはやりたくない。
ここには、気づきを生もう、成功体験を通してより大きな成長を引き出そう、という発想が見られないし、何より乗れるようになるまでに時間がかかるし、乗れるようにならないかもしれない。

私のやり方はこうだ。
ペダルを外した自転車を用意する。
またがって、足でこいで走り回る。コースを決めてタイムトライアルでもいい。
スムーズに走り回れるようになったら、ペダルをつける。
ペダルの回し方がぎこちないようだったら、スタンドを立ててペダルの回し方だけ練習するのも良い。
一つ一つができるようになれば、あとは放っておいても勝手に乗れるようになってくれる。
自転車に乗るという技術を要素に分解し、要素ごとに効率的に訓練する、という考え方である。

ビジネス上の研修でも前者のように「乗り方を説明」して終わるものは多い。
そういう研修は短い。
自転車の例でいえば、10分もあれば終われるだろう。
だが、決してその時間で乗れるようにはならない。

私の方法では、10分では終わらない。
早くて数十分、普通は1~2時間、場合によっては半日ぐらいはかかるだろう。
だが、できるようになる。
私の提供し続けたいのは、そういう「できるようになる」研修であり、私自身は、より効率的に学ばせる技術、それを磨き続ける職人になりたい。

まだそよ風ではあるが追い風は吹いていると感じる。
身につけたいスキルはあるのに、学べる場がない、という声を、特にヒューマンスキルが関係する分野でよく聞く。
例えば、プロジェクトマネージャのコミュニケーションスキルや、チームビルディングスキルについてなどである。
もちろんそういう声があれば、対応する研修があるのだが、多くが「乗り方の説明」だけで終わっている。訓練まで含まないものがほとんどなのだ。

だが、海外ではそのような研修が多くなされているし、日本の大手企業でも実施されている例もある。

「できるようになるには時間がかかる」

このことさえ理解してもらえれば、私の実施する研修が受け入れてもらえることも増えるだろう。
費用の面でも短い研修を、というリクエストがあるのもわかるが、それについてもできるだけの対応を考えたい。

最先端の教育理論に基づいた実践的に学べる研修を、誰でも受けられるリーズナブルな価格で、というのが今年の私のテーマである。