企業などでコーチングなどの必要性が言われるようになってから久しい。
「私はコーチングで部下を動かしている」と言う人も増えているだろう。
だが、本当にそうか。
教育に関心のある人の話や、コーチング研修を受講してくれた方の話を聞くと、なかなか実際にはできていないことが多いような気がする。
いくつかチェックポイントをあげてみよう。
もし「教えてやろう」「育ててやろう」という意識がある場合には、それは恐らくコーチングではない。
もし、部下が何を考えているか分からない場合には、それも恐らくコーチングではない。
もし、部下の提案を却下して、指導のつもりで自分の指示を実行させている場合も、コーチングになっていない場合が多い。
これらのチェックポイントで引っかかる場合には、コーチングはできていないと思われる。
コーチングでは、相手の気持ちを考えることが必須である。
コーチングでは、相手のモチベーションを引き出すことで人を動かす。
コーチングでは、相手の頭を働かせて、答えを見つけさせる。
これらは、コーチング研修などで「手法」として紹介されていることばかりである。
言葉を理解するのは簡単なことだ。
だが、実際に行うのは、なかなかにむずかしい。
理由は簡単である。
意識して自分自身が変わらなければ、相手に視点を移すことはできないからだ。
自分の意識の中に「育ててやる」「教えてやる」という気持ちが残っていては、それはコーチングにはならない。
自分自身が変わった記憶がなければ、コーチングができていない可能性が大である。
相手に寄り添い、相手の気持ちを考え、感じ、相手の気持ちの中に変化を呼び起こすことがコーチングなのだ。
できていれば、相手の変化を感じられる。
それが感じられていなければ、コーチングはできていない。
コーチングで人を指導している、という人は、一度振り返ってみてはいかがだろうか。