Takanori

講師育成で目指したもの

先のブログで、4年続いてきた講師育成が途切れることになった、という記事を書いた。
私が取り組んできた講師育成研修についてこれまで何度か書いてきているが、あらためて簡単にまとめてみたい。
●講師育成で目指すもの
私が講師育成研修で目指すのは、ただ研修を上手に終わらせることができる講師を育てることではなく、受講者の成長を真摯に願いそのための研修を行える本当の講師の育成である。
だから、画一的な説明の仕方を教えたりするのではなく、人を育てる講師としてのモチベーションや意識を持ってもらい、受講者に合わせて必要な対応がとれるように、テキストの読み取りや説明の組み立て、話をするスキルなどの基礎スキルの習得を主たる目的としている。
また、教えこむのではなく、自主的に学んでもらうためのモチベーションをどのように引き出すか、自主性をどのように引き出すか、ということについても学んでもらうのも重要な要素である。
講師スキルを、ただ「上手に説明する」スキルととらえるのではなく、チームをマネジメントし、チームとメンバーを成長させる幅広いヒューマンスキルとしてとらえることで、多くの気付きと学びとスキルアップをしてもらう。
そして、本質的な人の成長に関与し、促すことができるようになってもらう。
これが、講師育成で目指すことであり、サーバントリーダーのあり方そのものである。
●目指す成果
すべての人が1、2ヶ月の学習で完璧な講師になれるものではない。
話す力、聴く力、質問する力、質問に対応する力、対象を分析する力などなど講師として必要な、もしくは望まれるスキルは多岐にわたる。
これらを1、2ヶ月という期間ですべて「できるようになる」のはむずかしい。
だが、全く成長しない人、変化しない人もほとんどいない。
講師としてのスキルが十分につかなくても、今まで持っていた思い込みに気付いたり、人やチームの力を信じられるようになったり、他の人のために働きたいと考えるようになったりする。
人が変わったんじゃないか、と思われるような変化を見せてくれる人もいる。
人は何かを言われて変わることはない。
人が変わるには、自らの気付きが必要だ。
その気付きを得てもらい、より良くなりたいと思うようになることが、本当の目指す成果である。
それにより、人は変わり、行動も変わっていく。
●知識ではなくスキル
大切なのは100個の「知っているけどできない」ではなく一つの「できる」である。
「知っているけどできない」では次につながらないが、一つの「できる」は次の99の「できる」につながっていく。
「知っている」のためなら、本を読めばいい。
だが「できる」のためには、試行錯誤と訓練が必要である。
人の成長速度はみんな違う。
できることも、できないこともみんな違う。
すべての人が研修中に同じゴールにたどり着く、というのは、よっぽど低いゴールでなければ不可能である。
時間いっぱい、それぞれの人が持つ伸びしろを伸ばそうと思えば、達成するゴールは違わざるを得ない。
それぞれが自分の「できる」を作り、チームとして助け合いながら1つの「できる」を2つ、3つと増やしていく試行錯誤と訓練を続けられる環境を作ることが、サーバントリーダーとしての講師の役割である。
●成長へのモチベーション・渇望
研修の中での成長も大切だが、もっと大切なのは研修後に続けて成長できるかどうか、である。
研修において、終了後にも続くモチベーションを残さなければ、研修後の成長は望めない。
「やっと終わった」ではダメなのだ。
「もっと続けたい、学びたい」という気持ちのまま終われるような研修でなければならず、それは課題を全部終わらせておしまい、という研修からは生まれづらい。
まだ上がある、先がある、というビジョンに加え、それを目指したいという気持ちが残せるかどうかは大切なことである。
●教える、からの脱却
すべての講師がすべての最新の技術的な内容に精通することは不可能である。
得意分野があったとしてもすぐに古くなる世界であるし、それは技術の世界に留まらない。
学んでもらいたいことは常に変わり続ける。
そんな環境にあって、知識を「伝えること」は講師の役割ではなく、最新の書籍、ネット上の最新の情報の役割である。
講師の役割は、教えてもらうのを待つだけでなく、自ら調べ、考え、試行錯誤し、検証できる人を育てることである。
すべての分野にあるだろう「基本的なこと」は効率よく説明し理解させればよいが、それだけではなく、講師は「教える人」ではなく「育つのを支援する人」であり「道を示す人」でありたい。
○チーム活動の支援
これはこれまでの講師育成の中では制約があり十分にはできなかったことであるが、現場の講師として必要なスキルである。
多くの研修においてグループワーク、ワークショップが取り入れられている。
だが、参加してみても「これでは気付きを生めないな」と思われるグループワークも多い、というか、なかなか「これは!」というワークショップにはお目にかかれない。
ワークショップは「すればいい」というものではない。
ワークショップを効果的に実施するには、目的設定、分析、課題設定、インストラクション、観察、調整、クロージングという段階を踏む必要があるが、適切でない課題のやりっぱなしのワークショップも多い。
また、議論を促すファシリテーションの力もチーム活動の支援に必要である。
これらのワークショップを実施する力、ファシリテーターとしての力も行使として求められるものである。

これらが、私が行ってきた講師育成で目指していること、そして、目指したいことである。
読んでいただいても分かると思うが、講師育成は講師そのものの育成としてももちろん機能するのだが、そのままマネージャの育成にもなっている。
これは、これまでの経験から自信を持って言える。
このような学び、成長を促すスキルを活かし、共に活動できる仲間を求めたい。
私自身の希望は、上記のようなことがあたりまえになるように「人を育てる文化を普及させること」であるが、このような研修と実践を体系的に行っているところはそれほどない。
講師育成としてやっているところもないし、管理職研修として見ても、新人研修の講師として活動することで実践訓練が行えるような場が用意されているようなこともない。
だから、今、これを行えば、間違いなくオンリーワンになれる。
ビジネスとしても魅力があるのではないかと思えるが、講師としてはともかく、プロデューサーは私の器ではないことは自認している。
1~2ヶ月みっちり集合研修。
 終了後、講師として1~2ヶ月程度の新人研修の現場で活動。
 新人研修後は、希望者には上記のような内容を含む管理職研修を実施できるような、さらなる講師訓練の場を設ける。
 設定した講師基準をクリアした方には、それらの管理職研修をお願いする。
 講師として活動しなくても、マネージメントスキルは確実に向上する。
こんなことが実現できたらよいなと考えている。
このような研修を受けた講師から学ぶ側にもメリットはある。
多くの研修、特にIT研修では、普通の技術者が教え方を学ばずに現場に出ていることが多い。
その結果、残念ながら講師がいなくても学べるレベルの技術的な成長に留まっていたりする。
知っている人が育てられる人ではないのだ。
だが、教え方、育て方を学んだ講師であれば、チームで働くスキル、コミュニケーションスキル、モチベーションなど技術以外の分野での成長を期待することもできるだろう。
念のため、私が行っている教育は、決して特別なものではない、ということをお伝えしておきたい。
こういうのも変だが、私の行っていることに、目新しいことはなにもない。
NHKで紹介された「○○白熱教室」、茂木健一郎氏の「育ての極意」、上越教育大学西川教授の「学び合い」、コーチング、ロジカルシンキング、アウトプット重視、コミュニケーション、モチベーションドリブン、インプロビゼーション、ほめて育てるなどなど、いろいろなところで「こうあるべき」「効果がある」とされていることをコーチングの考え方を軸に体系化し、ていねいに効果的と思われる方法で実施しているだけである。
決して、トリッキーなことをしているわけではなく、スタンダードであるとさえ思っている。
もし、私の行っていることが、斬新に見えるのであれば、多くの現場で行われている「教えれば分かる」式の昔ながらの古い学びの形しかご存じないだけであろう。
私の強みは、細分化して発展している育てる技法を、横断的に見て体系化していることだとは思う。
しかし、これは遠くない将来、スタンダードになるはずである。
いわば、ネクストスタンダード、である。
ネクストスタンダードをスタンダードにすることが、私の目標である。
繰り返すが、一緒に歩んでくれる仲間を求めたい。
私のスキルと知識を使い、日本を変えるプロデュース、コーディネートをしてくれる仲間がいてくれたらうれしい。

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