Takanori

レベル分けグループについて

技術系の新人研修などでは、よく「レベル別のグルーピング」が行われる。
開始時、もしくは適宜テストなどによりレベル分けをして、レベル毎にグルーピングをするのだ。

新人研修などでも、お客さんから「レベル別のグルーピングをしてほしい」という依頼を受けることがある。
理由をうかがうと「みんながやる気になるから。」というような理由であることが多い。

今回はこの「レベル別のグルーピング」について考えてみたい。
「レベル別のグルーピング」を行う理由は次のようなものだろう。

1つには、グループ内部での情報交換をしやすくなることがあげられる。
似たようなレベルのメンバーがいることで、教え合ったり、一緒に考えたりしやすくなることが期待できる。

また、よりレベルの高いグループになりたいために、モチベーションが高まることも理由の1つだろう。
特に上位レベルのグループにはそのような傾向が見られることが多い。

一般的には、これらがレベル別のグルーピングを行うメリットととらえられるだろう。
では、デメリットはどんなものがあるのだろうか。
・下位レベルのグループのモチベーションが上がらないことがある。

下位レベルのグループには「どうせやっても上には行けない」という気持ちになりがちである。
上位グループの進み方が早くなることも多く、上位に上がることはなかなかむずかしいために、特にレベルの低い人が「どうせだめなんだ」と思うことが多くなる。

・評価基準が「技術スキル」のみになりがち。

上位グループにいることが「善」となり、他の要素が評価されづらくなる。
技術スキル以外に何か問題があったとしても「技術スキルがあるからいいだろう」という判断を自他共にしがちになる。

・レベルが異なるグループ間に隙間ができることがある。

上位グループと下位グループの間だけでなく、それぞれのグループ内の上位と下位でも心理的な隙間ができることがある。
技術スキルのみに従った「階級」ができてしまう、とでも言えばよいだろうか。
チーム一丸となって、という形にはなりにくい。
これらに加えて、実は、最初にメリットのように書いた「グループ内の情報交換」、「モチベーションの向上」ももう少し分析する必要がある。
「グループ内の情報交換」だが、教えることにより自分のレベルが下がることは避けたい心理が当然のように働く。
教えているようだけど親身になっては教えていない、もしくは、教えない、という状態になることがある。
それぞれのグループの中でも上位レベルのメンバーだけが話し合っている、というシーンができたりする。
結果として、チームの成果、という発想が芽生えないために、せっかくの学び合いのチャンスをなくしてしまうことになる。

「モチベーションの向上」は見られるのだが、それは「下のレベルに落ちたくない」「上のレベルに行かないと不利だ」という心理がベースのモチベーションになりがちである。
これは、例えば、頭に銃を突きつけられて「やらないと撃つぞ」と言われているのと同じ種類の外的モチベーションになる。
「やりたい」「できるようになりたい」という内的モチベーションではないために、レベル別のグループ、というモチベーションの源がなくなった段階でモチベーションもなくなってしまう。
そのため、研修後のモチベーションの継続が難しくなる可能性が高い。
新人研修で目指す成果のうち、「チームで働くスキル」の習得というのは大きなウェイトを占めると私は考えている。

チームで働くには、メンバーのよいところを認め合う、という要素が欠かせないのだが、レベル分けをしたグループによる研修では評価基準が技術スキルに偏りやすく、技術スキルは高くないがリーダーシップが高い、というような評価がなされにくくなる。
ムードメーカーと呼ばれる人は基本となるコミュニケーションスキルが高いことが多いが、このようなスキルも評価対象になりにくい。
実際のところ、技術スキルは業務で触れていく中で自然に伸びていくが、チームで働く意識を現場で身につけ訓練することはなかなか難しい。
だからこそ、新人研修ではチームで働くスキルを身につけさせる必要があると考えている。
これらの理由から、私が新人研修の講師をするときには「レベル別のグルーピング」は行っていない。
レベル別のグルーピングを行うことで、新人研修で身につけてもらうべきチームで働くスキルを身につけてもらうことや、研修終了後のモチベーションにつなげることが難しくなるからだ。
レベル別のグルーピング以外に、モチベーションを上げて技術スキルを高め、加えてチームで働くスキルを身につけてもらう方法を使えばよい。

その方法とは、簡単にいえば、個の成果からチームの成果に評価基準を切り替えることである。

具体的な進め方については、また後ほど書いてみようと思う。

コメントを残す